トンレ・サップ湖(読み)とんれさっぷこ(英語表記)Tonlé Sap

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トンレ・サップ湖」の意味・わかりやすい解説

トンレ・サップ湖
とんれさっぷこ
Tonlé Sap

カンボジア中西部にあるインドシナ半島最大の湖。別称大湖Grand Lac。面積は乾・雨期による変化が激しい。最低水位時では3000平方キロメートルだが、雨期には1万平方キロメートルとなる。貯水容量は450億立方メートルに達し、メコン川とともにカンボジアの二大水系をなす。メコン川とはトンレ・サップ川によってつながっており、雨期にメコン川の水量が増加すると水が湖に逆流する。湖の水位が上昇すると、ふたたびメコン川に流入するようになり、メコン川にとって天然の洪水調整池となっている。水深乾期の1メートル前後から雨期には最大14メートルに達する。漁業が盛んで、1平方キロメートル当りの漁獲量は世界一といわれる。海跡湖のため、カタクチイワシなど海水産の魚類も生息する。

[大矢雅彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トンレ・サップ湖」の意味・わかりやすい解説

トンレサップ湖
トンレサップこ
Tonle Sap

カンボジア西部にある湖。北西-南東方向に細長く延び,乾季 (11月~4月) には長さ約 150km,幅約 35kmで,面積約 2700km2。最大水深 12m。メコン川の洪水を制御する天然の調節池としての役割をもつ湖で,乾季には湖の南東端からトンレサップ川が流出してプノンペン付近でメコン川に注ぐのに対し,雨季には増水したメコン川の河水がトンレサップ川を逆流してこの湖に流入し,湖の面積は乾季の約3倍に広がる。水深も乾季の1~3mから,雨季には9~14mに増し,周辺の森林は水没してメコン川から流れ込む魚類の繁殖地となり,また湖に注ぐセン川などの河川に沿うコンポントム,シエムレアプバッタンバンなどの町へ船が遡航できる。東南アジア最大の淡水湖で,漁業が盛んであるが,近年漁獲高が減少している。

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