トンレサップ湖(読み)トンレサップコ(その他表記)Tonlé Sap

デジタル大辞泉 「トンレサップ湖」の意味・読み・例文・類語

トンレサップ‐こ【トンレサップ湖】

Tonlé Sapカンボジアにある、インドシナ半島最大の湖。乾季雨季とで面積が3倍以上変化し、メコン川ともつながっている。淡水魚種類が多く、古くから漁業が盛ん。

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精選版 日本国語大辞典 「トンレサップ湖」の意味・読み・例文・類語

トンレサップ‐こ【トンレサップ湖】

  1. ( トンレサップはTonle Sap ) インドシナ半島南部、カンボジアの中西部にある大湖。トンレサップ川によりメコン川につながり、増水期にはメコン川の水が逆流するため、水量調節の役割を果たす。淡水魚の漁場

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トンレサップ湖」の意味・わかりやすい解説

トンレ・サップ湖
とんれさっぷこ
Tonlé Sap

カンボジア中西部にあるインドシナ半島最大の湖。別称大湖Grand Lac。面積は乾・雨期による変化が激しい。最低水位時では3000平方キロメートルだが、雨期には1万平方キロメートルとなる。貯水容量は450億立方メートルに達し、メコン川とともにカンボジアの二大水系をなす。メコン川とはトンレ・サップ川によってつながっており、雨期にメコン川の水量が増加すると水が湖に逆流する。湖の水位が上昇すると、ふたたびメコン川に流入するようになり、メコン川にとって天然の洪水調整池となっている。水深乾期の1メートル前後から雨期には最大14メートルに達する。漁業が盛んで、1平方キロメートル当りの漁獲量は世界一といわれる。海跡湖のため、カタクチイワシなど海水産の魚類も生息する。

[大矢雅彦]

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改訂新版 世界大百科事典 「トンレサップ湖」の意味・わかりやすい解説

トンレ・サップ[湖]
Tonle Sap

カンボジア中央部にある大湖。カンボジア語で〈淡水の広いひろがり〉の意味。トンレ・サップ川を通じてメコン川とつながり,乾季の渇水期(11~4月)に排水するが,雨季の増水期(5~10月)にはメコン川の河流が逆流してくる。自然の調節湖の機能を果たし,渇水期の湖水面積は約3000km2,増水期には3倍強に膨張する。水深は通常で1~2m,湖の周囲は約280km。湖岸に野生の浮稲があることで知られる。世界有数の淡水魚の漁場で,漁期は渇水期である。漁法はダイと称する定置網の簗(やな)漁が中心で,魚は乾魚,薫製,塩漬魚醬,魚餅(ペースト状の塩辛でプラホップという)などにして,輸出または国内で消費する。漁師にはカンボジア人よりベトナム人やチャム人が多い。漁期には農民が牛車で湖岸に来て,籾米とプラホップ用の小魚とを交換する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トンレサップ湖」の意味・わかりやすい解説

トンレサップ湖
トンレサップこ
Tonle Sap

カンボジア西部にある湖。北西-南東方向に細長く延び,乾季 (11月~4月) には長さ約 150km,幅約 35kmで,面積約 2700km2。最大水深 12m。メコン川の洪水を制御する天然の調節池としての役割をもつ湖で,乾季には湖の南東端からトンレサップ川が流出してプノンペン付近でメコン川に注ぐのに対し,雨季には増水したメコン川の河水がトンレサップ川を逆流してこの湖に流入し,湖の面積は乾季の約3倍に広がる。水深も乾季の1~3mから,雨季には9~14mに増し,周辺の森林は水没してメコン川から流れ込む魚類の繁殖地となり,また湖に注ぐセン川などの河川に沿うコンポントム,シエムレアプ,バッタンバンなどの町へ船が遡航できる。東南アジア最大の淡水湖で,漁業が盛んであるが,近年漁獲高が減少している。

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世界大百科事典(旧版)内のトンレサップ湖の言及

【カンボジア】より

…メコン川は国内を北から南へS字形に約500kmにわたり貫流し,雨季の流量は乾季の20倍にふくれあがる。トンレ・サップ湖はトンレ・サップ川を通じてメコン川とつながり,増水期にはメコン川の河流が逆流し,湖岸周辺を徐々に冠水しながら,渇水期の約3倍にまで湖の面積を広げる。つまりこの湖は自然の調節槽的役割を果たしている。…

【メコン[川]】より

…国際協力によるメコン川開発計画は,こうしたメコン川中流部の開発を一つの大きな目標にしている。 メコン川筋には,カンボジア領内にトンレ・サップ湖という東南アジア最大の淡水湖があり,雨季には洪水が流入して,乾季のときの3倍にも膨れ上がる。この湖の貯水はメコン・デルタの稲作をおおいに安定させている。…

※「トンレサップ湖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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