ナティエ(読み)なてぃえ(英語表記)Jean-Marc Nattier

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナティエ」の意味・わかりやすい解説

ナティエ
なてぃえ
Jean-Marc Nattier
(1685―1766)

フランスの画家パリに生まれ、同地に没。父、叔父を画家にもち、早くからその才能をルイ14世に認められ、版画マリ・ド・メディシス伝』を制作(1700~1710)、1718年にはアカデミー会員となる。とくに肖像画に優れた彼の才能は、オルレアン家、ついでルイ15世の宮廷によって寵賞(ちょうしょう)され、『フローラに扮(ふん)したアンリエット夫人』(1742)、『マリ・レクザンスカの肖像』(1748年。ともにベルサイユ宮)など王室の肖像画を多く残した。彼はしばしば神話風の扮装で女性像を描き、その華やかさや優雅さと若干の哀愁を交えた作品群は、ルイ15世時代のロココ趣味、古典趣味を典型的に示している。

中山公男


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナティエ」の意味・わかりやすい解説

ナティエ
Nattier, Jean-Marc

[生]1685.3.17. パリ
[没]1766.11.7. パリ
フランスの画家。両親も画家。 1715年アムステルダムに行き肖像画『ピョートル1世』を描いた。その後『ポルタバの戦い』 (1715~20) など一連の歴史画でアカデミーに迎えられたが,20年以降は肖像画に専心宮廷画家としてルイ 15世の宮廷の婦人たちを神話の女神に擬して描いた『ディアナに扮したアデレード夫人』 (ウフィツィ美術館) などで人気を得た。その他『ポンパドゥール夫人』や『マリー・レスチンカの肖像』 (ディジョン美術館) などが有名。

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