ナリジクス酸（読み）ナリジクスサン

化学辞典 第2版

ナリジクス酸
ナリジクスサン
nalidixic acid

1-ethyl-1,4-dihydro-7-methyl-4-oxo-1,8-naphthyridine-3-carboxylic acid．C₁₂H₁₂N₂O₃(232.24)．1,2-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-7-メチル-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸をN-エチル化，酸化して合成された抗菌剤．淡黄色の結晶．融点229～230 ℃．大腸菌，肺炎桿(かん)菌など，グラム陰性菌に特異的に作用し，ほかの療法剤と交差耐性を示さないので，腸管や尿路感染症に投与する．LD₅₀ 1560 mg/kg(マウス，経口)．[CAS 389-08-2][別用語参照]ノルフロキサシン，オフロキサシン

出典　森北出版「化学辞典（第2版）」

日本大百科全書(ニッポニカ)

ナリジクス酸
なりじくすさん
nalidixic acid

合成抗菌剤。グラム陰性菌に有効なピリドンカルボン酸系の合成抗菌剤の最初の薬剤。白色ないし淡黄色の結晶または結晶性粉末で、においはない。水、エタノールに溶けにくい。50％含有の細粒、25％含有のドライシロップ、5％含有のシロップ、250ミリグラムおよび500ミリグラム含有の錠剤・カプセル剤が市販されている。適応症は腎盂(じんう)腎炎、腎盂炎、膀胱(ぼうこう)炎、尿道炎、前立腺(せん)炎、淋疾(りんしつ)、細菌性赤痢、腸炎、胆嚢(たんのう)胆管炎などである。1日1～4グラムを2～4回に分けて服用する。

［幸保文治］

[参照項目] | グラム陰性菌

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ナリジクス酸
ナリジクスさん
nalidixic acid

グラム陰性菌に対して強い抗菌作用を示す薬物。尿路感染症および胆道感染症に経口的に用いられる。細菌性赤痢その他の腸管感染症にも有効である。成人1回 500mg経口投与により，血中濃度は2時間後に最高となり，尿中濃度は4時間後最高となる。副作用は軽度の胃腸障害で，まれに悪心，嘔吐がみられる。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

栄養・生化学辞典

ナリジクス酸

　→ナリジキシン酸

出典　朝倉書店