ニジュウヤホシテントウ(その他表記)Henosepilachna vigintioctopunctata

改訂新版 世界大百科事典 「ニジュウヤホシテントウ」の意味・わかりやすい解説

ニジュウヤホシテントウ
Henosepilachna vigintioctopunctata

甲虫目テントウムシ科の昆虫ナスジャガイモトマト,ホオズキなどナス科植物害虫として知られる。体はやや半球形で赤褐色。胸,上翅に黒色斑紋があり,和名は上翅の斑紋の数による。体長6~7mm。北海道を除く日本各地のほか,中国にも分布する。成虫で越冬し,4月ころから出現し食草の裏面に長楕円形の卵を40個内外産みつける。卵は直立し,互いにわずかずつ離れている。幼虫,成虫ともに葉にさざ波のような食痕を残す。幼虫は紡錘形で皮膚は白色。黒褐色の樹状突起で覆われる。5~6月に葉の裏面などで蛹化(ようか)し成虫となる。9月ころまでに2世代を経ることができる。ジャガイモの大害虫で知られるオオニジュウヤホシテントウH.vigintioctomaculataは日本各地に分布し,体長6.5~8mm。上翅の肩部がより強く前方へはりだし,背面のもり上がりも強く,黒紋も大きい。本種に近縁なものにコブオオニジュウヤホシテントウなど,いくつかの系統があり,それらをあわせてオオニジュウヤホシテントウ群と呼ばれる。形態,食性が変化に富む。
テントウムシダマシ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニジュウヤホシテントウ」の意味・わかりやすい解説

ニジュウヤホシテントウ
にじゅうやほしてんとう / 二十八星瓢虫
[学] Henosepilachna vigintioctopunctata

昆虫綱甲虫目テントウムシ科に属する昆虫。本州四国九州南西諸島から台湾、中国さらに東洋熱帯域に広く分布するナス類の大害虫。体長6~7ミリメートル。半球形の体で、黄褐色ないし赤褐色であるが、灰色の短毛を密生しているので光沢が鈍い。前胸背には3~6個、各上ばねに14個の黒紋があるが、一部が消えることもある。成虫・幼虫ともにナス、ジャガイモ、トマトなどナス科植物の葉を食害し、脈を残して網目状にする。越冬した雌は春から平均500の卵を産み、平均して40日ほどたつと次の世代の成虫が現れ、その雌はさらに多く産卵し、およそ1か月余りたって羽化した成虫は越冬する。幼虫は白くて紡錘形で太っており、前胸に2対、ほかの節に各3対の黒い樹枝状突起を備えている。同属の種にはジャガイモの害虫オオニジュウヤホシテントウ、ウリ類につくジュウニマダラテントウなどがある。

[中根猛彦]

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百科事典マイペディア 「ニジュウヤホシテントウ」の意味・わかりやすい解説

ニジュウヤホシテントウ

テントウムシ科の甲虫。体長6.5mm内外,半球形。赤褐色で28個の黒紋がある。関西以西の暖地,中国大陸,台湾などに分布。成虫・幼虫ともにジャガイモ,ナス,トマトなどのナス科植物の葉を食べる害虫。年2〜3回発生し,成虫で落葉下などで越冬する。本州東北部,北海道,朝鮮半島,中国,シベリア東部などには近縁種のオオニジュウヤホシテントウ(体長7mm内外)がおり,これもナス科植物の害虫。両種をテントウムシダマシと俗称することがある。
→関連項目テントウムシ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニジュウヤホシテントウ」の意味・わかりやすい解説

ニジュウヤホシテントウ
Epilachna vigintioctopunctata

鞘翅目テントウムシ科。体長6~7mm。体は半球形で,やや後方にせばまる。全体黄褐色ないし赤褐色で,背面に 28個の黒色紋をもつ。オオニジュウヤホシテントウに似るがやや小型で,上翅の斑紋も小さく,背面の隆起も顕著でない。ナス科植物の葉を食べる。本州,四国,九州,南西諸島,中国に分布する。

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小学館の図鑑NEO[新版]昆虫 「ニジュウヤホシテントウ」の解説

ニジュウヤホシテントウ
学名:Epilachna vigintioctopunctata

種名 / ニジュウヤホシテントウ
解説 / 成虫、幼虫ともジャガイモなどナス科の植物の葉を食べます。
目名科名 / コウチュウ目|テントウムシ科
体の大きさ / 5~7mm
分布 / 本州(暖地)、四国、九州、南西諸島
成虫出現期 / 5月~

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世界大百科事典(旧版)内のニジュウヤホシテントウの言及

【テントウムシ(天道虫)】より

…ベダリアテントウRodolia cardinalisは果実の害虫イセリアカイガラムシを食するため,天敵としてオーストラリアから輸入され,今日では本州以南に広く分布する。白渋病菌を食べる種類としてシロジュウニホシテントウ(シロホシテントウ)Vibidia duodecimguttata,ジャガイモやナスの葉を食べる種類としてはニジュウヤホシテントウHenosepilachna vigintioctopunctata(イラスト)などがあげられる。そのほか,カメノコテントウAiolocaria hexaspilota(イラスト)はクルミハムシを捕食することで知られるが,テントウムシ科の食性からみて特殊なものである。…

【テントウムシダマシ】より

…【林 長閑】。。…

【テントウムシ(天道虫)】より

…ベダリアテントウRodolia cardinalisは果実の害虫イセリアカイガラムシを食するため,天敵としてオーストラリアから輸入され,今日では本州以南に広く分布する。白渋病菌を食べる種類としてシロジュウニホシテントウ(シロホシテントウ)Vibidia duodecimguttata,ジャガイモやナスの葉を食べる種類としてはニジュウヤホシテントウHenosepilachna vigintioctopunctata(イラスト)などがあげられる。そのほか,カメノコテントウAiolocaria hexaspilota(イラスト)はクルミハムシを捕食することで知られるが,テントウムシ科の食性からみて特殊なものである。…

【テントウムシダマシ】より

…テントウムシ科に属するオオニジュウヤホシテントウHenosepilachna vigintioctomaculataニジュウヤホシテントウH.vigintioctopunctata(イラスト)の両種を指す俗称。テントウムシはアブラムシ類を食して有益であるが,テントウムシダマシはテントウムシに似た色と形をもちながら,ジャガイモ,ナス,トマトなどのナス科の農作物を食べ荒らす害虫として知られる。…

※「ニジュウヤホシテントウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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