ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハシナガイルカ」の意味・わかりやすい解説
ハシナガイルカ
Stenella longirostris; spinner dolphin
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ハクジラ亜目マイルカ科の哺乳類。インド洋,大西洋,太平洋の熱帯~亜熱帯に分布する吻(ふん)の長い外洋性の小型イルカ。しばしば水面に跳躍し,体をきりもみさせる(英名spinnerの由来)。ハワイ近海から小笠原,九州南方にかけては,体長2m前後で,背面が黒褐色,腹面が白色で,中間の体側部が幅広い灰白帯となる型が分布する。この背びれはふつうのイルカ型であるが,東太平洋には,背びれが前方に傾斜する型が生息する。タイ国沿岸の個体は体色は日本近海と同様であるが,体長は1.4m以下と小型である。歯は,上下左右に各45~65本。妊娠期間10.6ヵ月。体長約80cmで生まれた子は5~12歳で成熟し,以後2~3年に1回出産する。200~1000頭の群れで生活し,ハダカイワシやイカなどの中・表層性生物を捕食する。しばしば船首波に乗る。東部熱帯太平洋では,本種の群れはキハダマグロの群れといっしょにいるため,マグロ群の指標生物となり,巻網でいっしょにとられる。このため100万頭以上いた資源は数分の1に減少したので,アメリカ政府はその操業を規制している。
執筆者:粕谷 俊雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
哺乳(ほにゅう)綱クジラ目マイルカ科のハクジラ。体長2メートル、体重80キログラムまでの吻(ふん)の長いイルカ。インド洋、太平洋、大西洋の熱帯域に分布する。英名は、水面に跳躍して体をきりもみする習性に由来する。背面は黒色、腹面は白く、中間は灰色である。歯は上下左右おのおの50~60本。5~6年で成熟し、2~3年に1子を産む。魚、イカ、エビなどを食べる。
[粕谷俊雄]
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