ハマヒバリ(その他表記)Eremophila alpestris; shore lark; horned lark

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハマヒバリ」の意味・わかりやすい解説

ハマヒバリ
Eremophila alpestris; shore lark; horned lark

スズメ目ヒバリ科全長 16~20cm。夏羽(→羽衣)の雄は頭上に 2本の黒い羽角がある。色彩は亜種により濃淡の違いなどやや変化があるが,背面は灰褐色で後方に向かって色が淡くなり,背やに黒い縦斑がある。頭部は後方に長く伸びて先が湾曲する過眼線,頬線,額の後部が黒く,額,眉斑,喉が淡黄色。胸に幅広い黒帯があり,腹面は白い。雌は雄より色が淡く,羽角も小さい。ノルウェーからユーラシア大陸北極圏と,地中海東部から中央アジアロシア南部,モンゴルチベット中国北東部,さらに北アメリカで繁殖する。繁殖地は山岳地帯やツンドラ,海岸,砂漠などである。ヨーロッパ中部やモロッコカナダ南端部からメキシココロンビアでは留鳥。北部で繁殖する鳥は生息地の南部やシリアなどに渡って越冬する。主食は草の種子や葉だが,昆虫類なども食べる。非繁殖期には海岸などでよく見られ,日本には比較的まれに冬鳥(→渡り鳥)として渡来し,海岸,河口耕地,荒れた草原などに生息する。

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改訂新版 世界大百科事典 「ハマヒバリ」の意味・わかりやすい解説

ハマヒバリ (浜雲雀)
shore lark
horned lark
Eremophila alpestris

スズメ目ヒバリ科の鳥。全長17cm。背面は砂色ないし褐色で,額,ほお,胸が黒く,眉斑とのどは黄色い。繁殖期の雄は頭部に1対の黒い角状の冠羽がある。この鳥はユーラシアではツンドラ地帯と南部の高地で繁殖し,冬季は温帯低地の開けた疎生草地や海岸,積雪のないステップに渡り,小群で越冬する。ヒバリ科の他の種が分布していない北アメリカでは,ツンドラから草地,砂漠まで開けた場所のほとんどすべてに分布を拡大し,さらに南アメリカのコロンビアの高地にまで達している。日本には冬鳥として渡来するが,まれである。地上を歩きながら昆虫や小型の軟体動物,甲殻類,種子を食べ,海岸に打ち上げられた海草の間で採食しているのを見かけることがある。巣はヒバリの巣に似ていて,ツンドラや原野の地面のくぼみにつくり,1腹3~4個の卵を産む。巣づくりと抱卵は主として雌が行い,育雛(いくすう)は雌雄でする。近縁種のE.bilophaはアフリカのサハラ砂漠の北縁に形成される,植生がまばらな岩れき地や岩石帯の散在する砂漠に分布している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハマヒバリ」の意味・わかりやすい解説

ハマヒバリ
はまひばり / 浜雲雀
horned lark
[学] Eremophila alpestris

鳥綱スズメ目ヒバリ科の鳥。同科ハマヒバリ属2種中の1種。全長約16センチメートル。雄の夏羽は前頭、頬(ほお)、胸の黒色斑(はん)とのどの黄色との対照がきわめて美しく、前頭の黒色斑は眉(び)斑に沿って後方に伸び先端が角(つの)状に反り上がっている。ユーラシア、アフリカ北部、北アメリカ、中央アメリカ、コロンビアなど北半球に広く分布するが、日本にはごくまれな冬鳥として、海岸、荒れ地に渡来するにすぎない。主として昆虫や腹足類、甲殻類をとるが、草本の種子や新芽も食べる。

[坂根 干]


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