(読み)バ

デジタル大辞泉 「ば」の意味・読み・例文・類語

ば[接助・係助]

[接助]
口語では活用語の仮定形文語では活用語の未然形に付く。未成立の事柄を成立したものと仮定する条件を表す。もし…ならば。「暇ができれ行く」「雨天なら中止する」
「名にし負は―いざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと」〈伊勢・九〉
口語では活用語の仮定形、文語では活用語の已然形に付く。
㋐ある事態・ある条件のもとでは、いつもある事柄の起こる場合の条件を表す。…すると必ず。…するときはいつも。「当地も、四月中旬になれ桜が咲きます」「このボタンを押せ戸が開きます」
「家にあれ―に盛るいひを草枕旅にしあればしひの葉に盛る」〈・一四二〉
㋑ある事態・結果に気づくきっかけとなった動作作用を表す。…したところが。「ふと見れ西空は夕焼けだった」「思え悲しい出来事だった」
「それを見れ―、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり」〈竹取

㋐(口語で仮定形に付いて)共存する事柄を並列・列挙する意を表す。「野球もすれテニスもする」「きれいな空もあれ澄んだ空気もある」
㋑話題となっている事柄の前提を表す。「ニュースによれ、またドルが下がったようだ」「簡単にいえ、世代の違いということだ」
㋒(「…ば…ほど」の形で用いる)…するといっそうの意を表す。「見れ見るほど美しい」「読め読むほどおもしろい」
文語で已然形に付く。
㋐原因・理由となる条件を示す。…ので。…だから。
「大人になりにけれ―、をとこも女も恥ぢかはしてありけれど」〈伊勢・二三〉
㋑二つの事態を対照的に表す。
かぶらは海へ入りけれ―、扇は空へぞあがりける」〈平家・一一〉
(多くは打消しの助動詞「ず」の已然形「ね」に付いて)逆接の確定条件を表す。…のに。
「我がやどの萩の下葉は秋風もいまだ吹かね―かくそもみてる(=コウモ色ヅイテイル)」〈一六二八〉
[補説]1係助詞「は」に由来するといわれる。口語でも「御意見あらばうけたまわりましょう」のように文語的表現には未然形に付いて用いられる。なお、近世、形容詞の連用形や打消しの助動詞「ず」に付く係助詞「は」を接続助詞「ば」と解して仮定条件を表すこともあった。4㋑は中世の用法。
[係助][係助詞]

バ(Ba)

フィジー諸島ビチレブ島北西部の都市。同島北部の中心地であり、インド系住民が多く居住。周辺ではサトウキビ栽培が盛ん。製糖工場やイスラム寺院がある。

ば[五十音]

」の濁音。両唇破裂音の有声子音[b]と母音[a]とから成る音節。[ba]

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ば」の意味・読み・例文・類語

  1. 〘 接続助詞 〙
  2. [ 一 ] 活用語の未然形(口語では仮定形)に付いて、順接の仮定条件を表わす。…ならば。
    1. [初出の実例]「前妻(こなみ)が 肴(な)乞はさ(バ) 立柧棱(たちそば)の 実の無けくを 扱(こ)きしひゑね」(出典:古事記(712)中・歌謡)
    2. 「若宮など生ひ出で給は、さるべきついでもありなん」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
  3. [ 二 ] 活用語の已然形(口語では仮定形)に付いて。
    1. 順接の確定条件を表わす。…ので。…から。
      1. [初出の実例]「い行(ゆ)き目守(まも)らひ 戦へ(バ) 我はや飢(ゑ)ぬ」(出典:古事記(712)中・歌謡)
      2. 「いとをさなけれ(こ)に入てやしなふ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 恒常的な条件を表わす。…と。…時はいつも。
      1. [初出の実例]「瓜食(は)(バ) 子ども思ほゆ 栗食め(バ) まして偲(しの)はゆ」(出典:万葉集(8C後)五・八〇二)
    3. 逆接の確定条件のような意を表わす。…のに。→補注。
      1. [初出の実例]「秋萩の恋も尽きね(ば)さを鹿の声いつぎいつぎ恋こそまされ」(出典:万葉集(8C後)一〇・二一四五)
    4. 事柄の継起的関係や、ある事態に気づく契機となった行動を示す。…と。…したところが。
      1. [初出の実例]「天の原ふりさけ見れ(ば)白真弓張りて懸けたり夜道はよけむ」(出典:万葉集(8C後)三・二八九)
    5. 事柄の並列を表わす中世以後の用法。…し。
      1. [初出の実例]「ふるき都はあれゆけ、いまの都は繁昌す」(出典:平家物語(13C前)五)
  4. [ 三 ] 推量の助動詞「う」に付いて仮定の順接条件を表わす。…ならば。
    1. [初出の実例]「のぼらせられふおともいたさふ」(出典:虎明本狂言・宗論(室町末‐近世初))

ばの補助注記

[ 二 ]は、上代では打消の語に付き「ねば」の形で現われる。この用法は「…のに」と訳すと最もわかりやすいところから、一般に逆接条件を表わすとされるので一応そこにおさめたが、元来の表現としては、条件というよりむしろ単純な接続であり、「…(ない)で」「…と」などとほぼ同様の意として理解し得る。


  1. 〘 係助詞 〙
  2. 係助詞「は」が格助詞「を」の下に付いて連濁を起こしたもの。→は〔係助詞〕[ 一 ]
    1. [初出の実例]「黄葉を(バ) 取りてぞしのふ 青きを(ば) 置きてそ歎く」(出典:万葉集(8C後)一・一六)
  3. 「をば」の意に用いる。
    1. [初出の実例]「そこらにぶちあやし(おとし)てあった銭ア、みながんどうして、もてきたことばい」(出典:滑稽本・続膝栗毛(1810‐22)九)

ば【ば・バ】

  1. ( 「は」の濁音 ) ⇒は(は・ハ)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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