(読み)スミレ

デジタル大辞泉 「菫」の意味・読み・例文・類語

すみれ【×菫】


スミレ属多年草山野の日当たりのよい地に生え、高さ約10センチ。地上茎はない。葉は長い三角形。春、花柄を出し、濃紫色の花を横向きに開く。名は、花の形が墨入れ(墨壺すみつぼ)に似ているところからという。すもうとりぐさ。 春》「―程な小さき人に生れたし/漱石
スミレ科スミレ属の植物の総称。世界に約400種、日本には55種が知られる。地上茎のあるタチツボスミレツボスミレ、地上茎のないエイザンスミレなど。
すみれ色」の略。
かさねの色目の名。表は紫、裏は薄紫
[補説]作品名別項。→すみれ
[類語]三色菫

すみれ[曲名]

原題、〈ドイツDas Veilchenモーツァルト歌曲。1785年作曲。歌詞はゲーテの詩に基づく。
《原題、〈イタリアLe Violetteアレサンドロ=スカルラッティイタリア語によるオペラピッロとデメートリオ」の劇中で歌われる有名なアリア

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精選版 日本国語大辞典 「菫」の意味・読み・例文・類語

すみれ【菫・菫菜・菫葵】

  1. 〘 名詞 〙
  2. スミレ科の多年草。各地の山野の日当たりのよい場所に生える。高さ一〇~二〇センチメートル。全体に細毛を散生する。葉は長さ三~五センチメートルの三角状披針形で、先端は円く長柄をもち根もとに束生している。早春、葉間から花柄を伸ばし、先端に長い距のある紫紅色の花を横向きに一個ずつ開く。果実は、長楕円形で三稜があり、三裂して小さな種子を飛散する。和名は「すみいれ」の略で、花の形が墨壺に似ているところからこの名がある。漢名に紫花地丁を当てることがある。また、「菫」の字は、中国で、スミレの一種に菫菫菜とあるところからあてられるが、この「菫」は「芹」の意という。すもうぐさ。すもうとり。すもうとりぐさ。すもうとりばな。すもうばな。すもとりぐさ。かぎとりばな。かけびきばな。ひとばぐさ。すみれぐさ。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「春の野に須美礼(スミレ)(つ)みにと来しわれそ野をなつかしみ一夜(ひとよ)寝にける」(出典:万葉集(8C後)八・一四二四)
  3. スミレ科スミレ属の草本の総称。ツボスミレ・タチツボスミレなど数百種ある。〔生物学語彙(1884)〕
  4. (かさね)の色目の一つ。表は紫、裏は薄紫。
  5. すみれいろ(菫色)」の略。
  6. 紋所の一つ。の花や葉を模様としたもの。一つ菫、抱き菫、菫蝶、三つ葉菫などがある。
    1. 一つ菫@抱き菫
      一つ菫@抱き菫

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普及版 字通 「菫」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 11画

(旧字)
12画

[字音] キン
[字訓] すみれ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(きん)。〔説文一下に「艸なり。根は(なづな)の如く、細柳の如し。して之れをらへば甘し」という。〔広雅、釈草〕に「(そくず)なり」とし、〔詩、大雅、緜〕「(きんと)の如し」のは、とりかぶとをいう。

[訓義]
1. すみれ。
2. そくず。
3. とりかぶと。
4. 槿と通じ、むくげ。

[古辞書の訓]
和名抄 須美禮(すみれ) 〔名義抄 スミレ 〔字鏡集 クサ・アホヒ

[熟語]
菫喙・菫・菫菜・菫

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「菫」の解説

菫 (スミレ)

学名:Viola mandshurica
植物。スミレ科の無茎性多年草,園芸植物,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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