バッサーニ(読み)ばっさーに(英語表記)Giorgio Bassani

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バッサーニ」の意味・わかりやすい解説

バッサーニ
Bassani, Giorgio

[生]1916.3.4. ボローニャ
[没]2000.4.13. ローマ
イタリアの小説家。ユダヤ系の家庭に生れ,フェララで成長した。ボローニャ大学文学専攻。第2次世界大戦中の 1943年春,反ファシズム活動のかどで逮捕され,イタリアが連合国との休戦協定に調印した後はナチス・ドイツの傀儡政権に対する抵抗運動に参加。第2次世界大戦が終ると,『ボッテーゲ・オスクーレ』 (1948~59) や『パラゴーネ』 (53創刊) 誌などの編集にたずさわるかたわら,故郷フェララを舞台にした小説で,ユダヤ人の悲しみと苦難の生活を,抒情的な文体で描いた。主著『五つのフェララ物語』 Cinque storie ferraresi (56) ,『フィンツィ・コンティーニ家の庭』 Il giardino dei Finzi-Contini (62) ,『扉のかげで』 Dietro la porta (64) ,『乾し草の匂い』L'odore del fieno (72) 。

バッサーニ
Bassani, Giovanni Battista

[生]1657. パドバ
[没]1716.10.11. ベルガモ
イタリアの作曲家。おそらくベネチアレグレンツィ師事。 1677年フェララのアカデミア・デラ・モルテのオルガニスト就任,のち楽長となる。 88年ベルガモ大聖堂の楽長。オペラ 11,オラトリオ 12のほか,多数の器楽曲と宗教曲がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バッサーニ」の意味・わかりやすい解説

バッサーニ
ばっさーに
Giorgio Bassani
(1916―2000)

イタリアの作家。ボローニャ生まれ。ファシズム期には反政府活動により投獄され、ユダヤ人としても迫害を受けた。二重の意味で弾圧されたこの暗く重い体験が彼の文学の特異な色調を決定づけており、作品の基盤には、幼年期から青年期までを過ごしたフェッラーラブルジョア・ユダヤ人共同体がつねに据えられている。短編集『フェッラーラの五つの物語』(1956)、長編小説『フィンツィ‐コンティーニ家の庭』(1962)、『鷺(さぎ)』(1968)などが主要作品であるが、詩集『ガラス窓の夜明け』(1963)、評論集『用意された言葉』(1966)、『心の向こうに』(1984)なども、彼の文学活動の重要な支柱である。ただし、文学的責務に欠ける作品としてE・ビットリーニが断罪したG・トマージ・ディ・ランペドゥーザの長編小説『山猫』(1958)を、バッサーニが絶賛して世に送り出した事件は、彼の文学を評価するうえで、一つの大きな尺度になるであろう。

[鷲平京子]

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