バルトリハリ(読み)ばるとりはり(英語表記)Bharthari

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルトリハリ」の意味・わかりやすい解説

バルトリハリ(インドのサンスクリット叙情詩人)
ばるとりはり
Bharthari

生没年不詳。インドのサンスクリット叙情詩人。活躍期は7世紀ごろ。17世紀の中ごろに初めてヨーロッパに紹介され、3種のシャタカ(百頌(しょう)の詩集)の作者として知られる。『シュリンガーラ・シャタカ』(恋愛百頌)は恋愛の情緒を美しく詠じつつも煩悩(ぼんのう)は解脱(げだつ)すべきを訓(おし)え、『ニーティ・シャタカ』(処生百頌)と『バイラーギヤ・シャタカ』(離欲百頌)は、さらにこれを強調して解脱に至る道を説いている。唐の義浄(ぎじょう)の『南海寄帰伝』(四巻)に記されている大学士伐呵利(ばちかり)は、文法学者、哲学者バルトリハリ(5世紀)のことであるが、この学者と詩人が同一人であるか否か問題になっている。

[田中於莵弥]

『上村勝彦著『インドの詩人 バルトリハリとビルハナ』(1982・春秋社)』


バルトリハリ(古代インドの文法学者、哲学者)
ばるとりはり
Bharthari
(450ころ―500ころ)

古代インドの文法学者、哲学者。同名の詩人と同一視されることもある。生涯については不詳。主著は『文章単語篇(へん)』。文法学を復興したばかりでなく、文法学にベーダーンタ哲学を導入して言語哲学建設宇宙の根本原理ブラフマンは語を本性としているとした点が彼の哲学の特徴である。彼は語ブラフマン論者または語一元論者といわれる。また彼は語の本体常住不滅のスポータsphoaであると主張した。

[前田専學 2018年7月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルトリハリ」の意味・わかりやすい解説

バルトリハリ
Bhartṛhari

[生]450頃
[没]500頃
インドの文法学者,哲学者。伝記未詳。『文章単語編』 Vākyapadīyaの著者として知られる。パーニニ,パタンジャリらの文法学を言語哲学にまで高めた。7世紀末にインドを訪れた中国僧義浄の『南海寄帰内法伝』には,古来インドで愛誦されている『百頌三集』 Śatakatrayaの著者バルトリハリと同一人物とされているが,確定的ではない。

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