バーナード星(読み)ばーなーどせい(英語表記)Barnard's star

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーナード星」の意味・わかりやすい解説

バーナード星
ばーなーどせい
Barnard's star

へびつかい座にある実視等級9.5等の赤色の星。ケンタウルス座α(アルファ)星の4.4光年に次いで2番目に近い恒星で、距離は5.9光年。天球上の位置は、2000年分点の座標で、赤経17時58分、赤緯プラス4度42分である。すべての星は太陽系に対してそれぞれ空間運動しているので、太陽系から観察すると、個々の星の見える方向は天球上できわめてわずかに変化していく。これを固有運動という。バーナード星は固有運動が1年間あたり角度で10.31秒にも及び、全天の恒星中最大であることで有名である。1916年にE・E・バーナードにより発見されたのでこの名がある。スペクトル型はM4の主系列星で、表面温度は約3300K。質量は太陽の約0.17倍、半径は約0.15倍と推定されている。視線速度も大きく、毎秒108キロメートルで太陽系に近づきつつあり、固有運動の成分も含めると、太陽系に対する空間速度は毎秒140キロメートルとなる。計算によると、およそ1万年後には、距離が約3.9光年まで接近して、天球上の位置も現在よりも北に約51度も移動する。そのとき、実視等級は現在より1等ほど明るくなり、固有運動も1年間あたり25秒程度まで大きくなる。かつて、この星の固有運動が蛇行しているとの観測報告から不可視伴星が存在するらしいと予想されたが、現在では疑問視されている。

岡崎 彰]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バーナード星」の意味・わかりやすい解説

バーナード星
バーナードせい
Barnard's star

へびつかい座にあり,太陽から 5.9光年にある最近星の一つ。 1916年にアメリカの天文学者 E.バーナードにより発見された。光度 9.5等,スペクトル型は M5の低温 (表面温度約 2700℃) 赤色の主系列星で,質量は太陽の約 0.15倍。固有運動は全天の恒星中最大で1年間に 10.3″,すなわち約 180年間で地球から見た月の直径に等しい角距離を動く。 63年に固有運動のふらつきから,質量が木星の約 1.5倍,公転周期 25年の目に見えない伴星をもつことが確認され,太陽系以外で見つかった最小惑星と考えられている。

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