へびつかい座(読み)へびつかいざ

改訂新版 世界大百科事典 「へびつかい座」の意味・わかりやすい解説

へびつかい(蛇遣)座 (へびつかいざ)
Ophiuchus

略号はOph。天の川西岸に位置する初夏の大星座両手毒蛇をつかまえる蛇遣いの姿は古代ギリシア医聖と呼ばれたアスクレピオスである。α星ラスアルハゲ(蛇をもつ人の頭)は光度2.1等,スペクトル型A5の巨星で,8.5年周期の連星系である。β星ケバライ(羊飼いの犬)は光度2.8等,スペクトル型K2の巨星である。この星座にはM9,M10,M12,M14,M19,M62,M107と数多くの球状星団が散在する。いずれも距離1万~2万光年の天体である。概略位置は赤経17h10m,赤緯-4°。午後8時の南中は8月上旬である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「へびつかい座」の意味・わかりやすい解説

へびつかい座
へびつかいざ
Ophiuchus

蛇遣座。天の赤道上の星座で 8月の宵に南中する。概略位置は赤経 17時10分,赤緯-4°。α星(ラス・アルハゲ)は光度 2.08等,スペクトル型 A5の巨星。α,β,η,δ,κの 2等から 3等の星を結ぶと大きな五角形ができる。RS星は平常時の光度 11.6等であるが,極大時には 4.3等になり,ほぼ 35年の周期で爆発を繰り返す反復新星として有名。現在知られている全天の恒星中最大の固有運動をもつバーナード星もこの星座にある。ほかに S字状暗黒星雲や多くの比較的明るい球状星団がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「へびつかい座」の意味・わかりやすい解説

へびつかい座
へびつかいざ / 蛇遣座

夏の宵の南の中天に見える星座。明るい星が少なく、大きな将棋の駒(こま)のような形に並んだ星々をたどるのは、夜空の明るい都会地では少々めんどうかもしれない。全体としては、ここに巨大なヘビをつかんだ巨人の姿を想像するが、へびつかい座とへび座は別々の星座であり、しかも、へび座は西に頭部、東に尾部が分かれているという珍しいつくりになっている。これは、かつては一体とみられていた星座を、プトレマイオスがそれぞれ独立させたことによるものである。へびつかい座の巨人はギリシアの神話の医術の神アスクレピオスの姿で、彼のもつヘビは医術と健康のシンボルとされている。星座の中に多くの球状星団を含んでいるが、小望遠鏡で見やすいものにM10、M12、M14などがある。

[藤井 旭]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「へびつかい座」の意味・わかりやすい解説

へびつかい(蛇遣)座【へびつかいざ】

8月上旬の夕方,南の中天に見える星座。赤道上にあり,数多くの球状星団が散在する。ギリシア神話でヘビ(へび座)をにぎる医聖アスクレピオスを象徴。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

ドクターイエロー

《〈和〉doctor+yellow》新幹線の区間を走行しながら線路状態などを点検する車両。監視カメラやレーザー式センサーを備え、時速250キロ以上で走行することができる。名称は、車体が黄色(イエロー)...

ドクターイエローの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android