デジタル大辞泉 「ば」の意味・読み・例文・類語
ば[接助・係助]
1 口語では活用語の仮定形、文語では活用語の未然形に付く。未成立の事柄を成立したものと仮定する条件を表す。もし…ならば。「暇ができれ
「名にし負は―いざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと」〈伊勢・九〉
2 口語では活用語の仮定形、文語では活用語の已然形に付く。
㋐ある事態・ある条件のもとでは、いつもある事柄の起こる場合の条件を表す。…すると必ず。…するときはいつも。「当地も、四月中旬になれ
「家にあれ―
㋑ある事態・結果に気づくきっかけとなった動作・作用を表す。…したところが。「ふと見れ
「それを見れ―、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり」〈竹取〉
3
㋐(口語で仮定形に付いて)共存する事柄を並列・列挙する意を表す。「野球もすれ
㋑話題となっている事柄の前提を表す。「ニュースによれ
㋒(「…ば…ほど」の形で用いる)…するといっそうの意を表す。「見れ
4 文語で已然形に付く。
㋐原因・理由となる条件を示す。…ので。…だから。
「大人になりにけれ―、をとこも女も恥ぢかはしてありけれど」〈伊勢・二三〉
㋑二つの事態を対照的に表す。
「
5 (多くは打消しの助動詞「ず」の已然形「ね」に付いて)逆接の確定条件を表す。…のに。
「我がやどの萩の下葉は秋風もいまだ吹かね―かくそもみてる(=コウモ色ヅイテイル)」〈万・一六二八〉
[補説]1は係助詞「は」に由来するといわれる。口語でも「御意見あらばうけたまわりましょう」のように文語的表現には未然形に付いて用いられる。なお、近世、形容詞の連用形や打消しの助動詞「ず」に付く係助詞「は」を接続助詞「ば」と解して仮定条件を表すこともあった。4㋑は中世の用法。
[係助]⇒は[係助詞]