日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビンナガ」の意味・わかりやすい解説
ビンナガ
びんなが / 鬢長
albacore
[学] Thunnus alalunga
硬骨魚綱スズキ目サバ科に属する海水魚。比較的小形のマグロで、最大体長約1.3メートル。成魚の胸びれが著しく長いのが特徴(体長30センチメートル以下のものでは短い)で、ビンチョウ、トンボ(関西地方)の呼称もこれに由来する。温帯性で、各大洋の温帯域に広く分布するが、熱帯海域にはほとんど生息しない。産卵場は亜熱帯海域にあり、幼魚は成長とともに温帯域に回遊し、成魚(体長約90センチメートル、5歳)になるまで温帯域にすむ。北太平洋では日本近海と北アメリカ沿海の間を季節的な東西回遊を行う。夏季は竿(さお)釣り漁業の対象にもなり、延縄(はえなわ)では周年漁獲される。肉は淡紅色で柔らかく、おもに缶詰に利用されてきたが、1990年代以降に刺身、すし種(だね)需要が広まった。
[上柳昭治・小倉未基]