日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファン・デン・ボス」の意味・わかりやすい解説
ファン・デン・ボス
ふぁんでんぼす
Johannes van den Bosch
(1780―1844)
オランダの植民地政治家。軍人としてジャワ島に渡って総督の副官を務め、帰国後1818年に植民地に関する書を著して、従来のオランダ人の統治を弁護するとともに、商品作物栽培の強制による輸出振興策を提案した。ベルギー独立運動に悩まされると同時に、ジャワ、スマトラで反オランダ闘争に直面して、国家財政行き詰まり打開に窮していた国王ウィレム1世らの藁(わら)をもつかまんとの期待を受けて、1829年東インド総督に任命された。無分別に収入増だけを求める彼が、1830年から実施に移した政策こそ、植民地支配の典型として悪名高き「強制栽培制度」であった。商品作物の強制栽培と商品の輸出は、確かにオランダに莫大(ばくだい)な利益をもたらしたが、インドネシア人社会にはぬぐいがたい深い傷を与えることになった。
[森 弘之]