改訂新版 世界大百科事典 「ファンデンボス」の意味・わかりやすい解説
ファン・デン・ボス
Johannes van den Bosch
生没年:1780-1844
オランダ領東インド政庁総督。在職1830-33年。彼の名は,1830年以来採用された強制栽培制度とともに広く知れわたっている。17歳でジャワのバタビア(現,ジャカルタ)に赴き,以後職業軍人としての道を歩んだ。1810年にいったん帰国し,植民地経略についての実務に携わるかたわら,《アジア,アメリカおよびアフリカにおけるオランダ属領--理念的,政治経済的,地理的観点からみたその状況》(1818)と題する植民地経営論を著した。この中で,ジャワに適合的な植民地政策を建策し,国王の信認を得て30年に東インド総督に就任するや,ただちに強制栽培制度を通じてその構想を実現した。この制度は,ディポネゴロ戦争(1825-30)によって疲弊していた政庁の財政をうるおす反面,ジャワ農村社会に深刻な衝撃を与えた。総督をやめた後,34年から40年まで植民大臣として政策遂行にあたった。
執筆者:土屋 健治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報