温度の高低の順位を数値で表すための基準。今日の考えでは,温度は(数値)×(単位)という形で表現する。具体的には,熱力学温度はケルビン(K)で,またセルシウス温度はセルシウス度(℃)で表すが,歴史的な意味で,あるいは実用的な意味で,種々の温度目盛が用いられてきた。歴史上の温度目盛の種類はきわめて多く,ニュートンをはじめレオーミュール,ランキン温度などの名で呼ばれるものもあるが,重要なのは,G.ファーレンハイトによる華氏温度目盛(°F)とA.セルシウスによるセルシウス度とである。
現今の温度測定に不可欠なものとして国際実用温度目盛(IPTS。international practical temperature scaleの略)がある。IPTSは,1927年に国際的な承認を得て以来,数次にわたり修正,改訂されてきたが,現在では68年国際実用温度目盛IPTS-68の75年修正版が通用している。IPTSは,現在12個の基準温度(定義定点という)を選んでそれぞれの熱力学温度のもっとも確からしい値を実験に基づいて取り決め,また,3種の温度測定手段を指定して,それらの特性を定義定点で実測ののち補間していくものである。今日の温度計は,すべて,直接または間接にIPTSと照合されていると考えてよい。こうして,あらゆる温度測定の結果は,熱力学温度の単位ケルビンによる表現に整合化されることになる。
執筆者:高田 誠二
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基本の温度は熱力学的温度(記号T )で,その単位はケルビン(記号 K)といい,水の三重点の熱力学的温度の1/273.16で定義される.セルシウス温度(記号t)はt = T - 273.15で定義され,単位はセルシウス度(記号 ℃)といい,ケルビンに等しい.このほか華氏温度(°F),列氏温度(°R)も用いられる.一つの温度をこれらの温度で表した数値をそれぞれF,Rとすると,
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…18世紀ころからは,各地の気温を比較する必要などのため,定量的測定の可能な目盛のある温度計が作られるようになり,氷の融点などを温度の定点とする提案がなされた。G.D.ファーレンハイトは1717年ごろに水銀温度計を製作し,水,氷,食塩を混ぜて得られる温度を0度,氷の融点を32度,体温を96度とする華氏温度目盛を考案し,42年にはA.セルシウスが氷の融点を0度,水の沸点を100度とする摂氏温度目盛(セルシウス度)を導入した。以後,温度計と温度目盛の改良は熱学の発展を促すことになった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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