日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラジリア石」の意味・わかりやすい解説
ブラジリア石
ぶらじりあせき
brazilianite
ナトリウムおよびアルミニウムの含水リン酸塩。1945年、未知の飾り石として、アメリカの国立博物館に持ち込まれたものが新鉱物として記載された。形態は大きな庇面(ひめん)の発達した菱形(ひしがた)の輪郭をもつ単斜短柱状立体のものと細長い複錐(ふくすい)状の立体になるものとがあるが、通常はc軸方向に伸びた繊維状結晶が放射状に集合し、球体をなす。花崗岩(かこうがん)質ペグマタイト中に産し、今では世界各地のいわゆるリン酸塩ペグマタイトから産出が知られているが、日本では未産出。
共存鉱物は白雲母、曹長石、石英、フッ素燐灰石(りんかいせき)など比較的単純な場合と、モンブラ石montebrasite(化学式LiAl[(OH,F)|PO4])、天藍石(てんらんせき)、オージェル石など数種のリン酸塩を含む場合とがある。同定は淡黄、黄、帯緑黄色の色調。形態が出ていれば識別できる。硬度5.5とやや高い割にはもろい。原産地はブラジルのミナス・ジェライス州にあるコンセルエイロ・ペナConselheiro Penaで、命名は国名ブラジルにちなむ。
[加藤 昭]