ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベネチアーノ」の意味・わかりやすい解説
ベネチアーノ
Domenico Veneziano
[没]1461.5.15. フィレンツェ
イタリアの画家。本名 Domenico di Bartolomeo。初期の画業はまったく不明であるが,おそらくベネチアで修業を積み,そこで北ヨーロッパからの新しい彩賦法を修得したと思われる。1438年4月1日,ペルジャからフィレンツェのメディチ家の長子ピエロ宛に,当時フィレンツェで高名な 2人の画家フラ・アンジェリコおよびフラ・フィリッポ・リッピと自分が同等の力量があるとの自薦状を提出。翌 1439年から 1445年にかけて弟子ピエロ・デラ・フランチェスカを助手(おそらくアレッソ・バルドビネッティも)として,フィレンツェのサンタ・マリア・ヌオーバ病院内の聖エジディオ礼拝堂の壁画装飾(現在消失)に従事した。フィレンツェに移住後は,マサッチオやアンジェリコらの影響を受けたと思われる。現存作品は少ないが,『東方三賢王の礼拝』(ベルリン国立美術館),『聖母子と四聖者』(1445頃,ウフィツィ美術館),『聖フランチェスコと洗礼者ヨハネ』(1460頃,サンタ・クローチェ聖堂)などがある。その明澄な光の取り扱いと洗練された色彩の,堅固な遠近法による絵画的な空間処理は,後代に大きな影響を与えた。
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