改訂新版 世界大百科事典 「ベルシェ」の意味・わかりやすい解説
ベルシェ
Giovanni Berchet
生没年:1783-1851
イタリアの詩人。ミラノの織物商の子として生まれたが,人文主義教育を受け,文学に目覚める。1816年,イタリア・ロマン主義の宣言ともいうべき《グリソストモの半ば真面目な手紙》を著し,古典主義の枠組みにはまらない,民衆の心性に基づいた,自発的で自由な詩を唱道する。祖国独立の地下運動に参加するが,蜂起計画が発覚し,21年亡命を余儀なくされ,パリ,ロンドン,ベルギー,ドイツを転々とする。この時期のバラードを集めた《詩集》(1824),《幻想》(1829)では,他国の支配下にある祖国への愛,亡命者の苦しみと悲しみが平易な言葉で切々と歌われ,民衆のあいだに広く流布し,熱い愛国心を鼓舞して,〈愛国詩人〉ベルシェの名を高めることとなった。
執筆者:竹山 博英
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報