ベークライト(その他表記)Bakelite

翻訳|Bakelite

デジタル大辞泉 「ベークライト」の意味・読み・例文・類語

ベークライト(Bakelite)

フェノール樹脂商標名。1910年に米国人ベークランド(L.H.Baekeland)が発明したことにちなむ。
[類語]合成樹脂プラスチックシリコーンシリコーン樹脂メラミン樹脂

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ベークライト」の意味・読み・例文・類語

ベークライト

  1. ( Bakelite 発明者のベークランドの名から ) フェノール樹脂の商品名。フェノール樹脂の総称としても広く用いられる。〔電気工学ポケットブック(1928)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベークライト」の意味・わかりやすい解説

ベークライト
Bakelite

アメリカ合衆国の化学者レオ・ヘンドリック・ベークランドが 1907年に発明したフェノール・ホルムアルデヒド樹脂の商標。不溶性,化学的耐性をもつ硬質プラスチックで,フェノールホルムアルデヒドを原料として合成される。両原料は初めコールタールと木精メチルアルコール)から生成された。有機天然素材を原料とするそれまでのプラスチックから大幅に進歩した,世界初の合成樹脂。その高い絶縁性から,電気部品や家電製品でセラック硬質ゴムに代わる,最初の商業生産された合成樹脂となった。1920年代にはスイッチ,ダイヤル,回路基板,ラジオの外箱まで広く使われ,自動車の電気系統にも用いられた。1930年代にはベークライトを成型した色とりどりのアクセサリーや小物が他のフェノール樹脂製品とともに人気を集めた。充填材や強化材を配合しているため,ベークライト製品はほぼ不透明で暗色だった。ベークランドは 1907年に特許出願,1910年にゼネラル・ベークライト・カンパニーを設立した。ベークライトの特許は 1927年に切れた。市場は成長を続け,他の熱硬化性樹脂や新たな熱可塑性樹脂が台頭した。1939年,ベークランドはベークライトの商標をユニオン・カーバイド・アンド・カーボン(→ユニオン・カーバイド)に売却した。ユニオン・カーバイドはこの商標を 1992年にジョージア・パシフィックに売却した。ベークライトは現在も,ドミノマージャンの牌,チェッカーやチェスの駒などに広く使用されている。(→フェノール樹脂

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベークライト」の意味・わかりやすい解説

ベークライト
べーくらいと
Bakelite

数あるプラスチックのなかでもっとも歴史の古いもので、1908年ベルギー生まれのアメリカのベークランドが開発したフェノール樹脂の商品名である。アメリカでは現在はユニオンカーバイド社の登録商標である。日本ではこのプラスチックが1911年(明治44)に三共株式会社品川工場で試作され、19年(大正8)東京の向島(むこうじま)工場を新設、のち日本ベークライト株式会社となり、55年(昭和30)に住友化工材(株)と合併して住友ベークライト(株)として現在に至っている。

垣内 弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ベークライト」の意味・わかりやすい解説

ベークライト
bakelite

1907年,アメリカのL.H.ベークランドがフェノールとホルムアルデヒドを反応させると不溶不融の熱硬化性樹脂が得られることを見いだし,09年これを商品化した。ベークライトはその商品名で,彼の名前にちなむ。現在でもまだフェノール樹脂の一般名のように使われることがある。
フェノール樹脂
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「ベークライト」の意味・わかりやすい解説

ベークライト

1907年L.H.ベークランドが発明した,フェノールホルムアルデヒド縮合による熱硬化性樹脂の商品名。今日のプラスチックの初めとされるもの。→フェノール樹脂

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

化学辞典 第2版 「ベークライト」の解説

ベークライト
ベークライト
Bakelite

フェノール樹脂の商品名.フェノール樹脂はL.H. Baekeland(ベークランド)によって1907年にはじめてつくられたのでこの名称がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のベークライトの言及

【合成樹脂】より

…実質上はプラスチックplasticと同義と考えてよいが,プラスチックは成形品になるもののみをいう場合がある。
[合成樹脂工業]
 古くから,松やに(ロジン),昆虫の分泌物のシェラックなどが天然樹脂として知られ,また,半合成樹脂としてセルロイド(ニトロセルロース),アセチルセルロースなどが生産されていたが,合成樹脂工業の歴史は1907年にアメリカのL.H.ベークランドが発明したベークライトbakeliteに始まる。ベークライトはフェノールとホルマリンから純粋に人工的に合成された物質で,フェノール樹脂の一つである。…

【合成樹脂】より

…実質上はプラスチックplasticと同義と考えてよいが,プラスチックは成形品になるもののみをいう場合がある。
[合成樹脂工業]
 古くから,松やに(ロジン),昆虫の分泌物のシェラックなどが天然樹脂として知られ,また,半合成樹脂としてセルロイド(ニトロセルロース),アセチルセルロースなどが生産されていたが,合成樹脂工業の歴史は1907年にアメリカのL.H.ベークランドが発明したベークライトbakeliteに始まる。ベークライトはフェノールとホルマリンから純粋に人工的に合成された物質で,フェノール樹脂の一つである。…

【フェノール樹脂】より

…フェノール・ホルマリン樹脂,石炭酸樹脂ともいう。1907年アメリカのL.H.ベークランドによって発明された最も古い合成樹脂で,09年にベークライトbakeliteの名で商品化された。 フェノール樹脂はその製法によって次の2種類にわかれる。…

【ベークランド】より

…初め写真会社に勤務したが,のちに写真印画紙〈ベロックスVelox〉(商標)を発明し,ネペラ化学会社を設立して独立。1905年からフェノールとホルムアルデヒドを反応させて得られる合成樹脂を研究,07年〈ベークライト〉の名で知られる最初の合成プラスチックの製造を開始した。10年に彼が創設したゼネラル・ベークライト社は,のちに他社を吸収合併しベークライト社となり,20年代後半までに全米フェノール樹脂業界の最大手になった。…

※「ベークライト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android