ベークライト(読み)べーくらいと(英語表記)Bakelite

翻訳|Bakelite

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベークライト」の意味・わかりやすい解説

ベークライト
Bakelite

アメリカ合衆国の化学者レオ・ヘンドリック・ベークランドが 1907年に発明したフェノールホルムアルデヒド樹脂の商標。不溶性,化学的耐性をもつ硬質プラスチックで,フェノールホルムアルデヒドを原料として合成される。両原料は初めコールタールと木精メチルアルコール)から生成された。有機天然素材を原料とするそれまでのプラスチックから大幅に進歩した,世界初の合成樹脂。その高い絶縁性から,電気部品や家電製品でセラック硬質ゴムに代わる,最初の商業生産された合成樹脂となった。1920年代にはスイッチ,ダイヤル,回路基板,ラジオの外箱まで広く使われ,自動車の電気系統にも用いられた。1930年代にはベークライトを成型した色とりどりのアクセサリーや小物が他のフェノール樹脂製品とともに人気を集めた。充填材や強化材を配合しているため,ベークライト製品はほぼ不透明で暗色だった。ベークランドは 1907年に特許出願,1910年にゼネラル・ベークライト・カンパニーを設立した。ベークライトの特許は 1927年に切れた。市場は成長を続け,他の熱硬化性樹脂や新たな熱可塑性樹脂が台頭した。1939年,ベークランドはベークライトの商標をユニオン・カーバイド・アンド・カーボン(→ユニオン・カーバイド)に売却した。ユニオン・カーバイドはこの商標を 1992年にジョージア・パシフィックに売却した。ベークライトは現在も,ドミノマージャンの牌,チェッカーやチェスの駒などに広く使用されている。(→フェノール樹脂

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベークライト」の意味・わかりやすい解説

ベークライト
べーくらいと
Bakelite

数あるプラスチックのなかでもっとも歴史の古いもので、1908年ベルギー生まれのアメリカのベークランドが開発したフェノール樹脂の商品名である。アメリカでは現在はユニオンカーバイド社の登録商標である。日本ではこのプラスチックが1911年(明治44)に三共株式会社品川工場で試作され、19年(大正8)東京の向島(むこうじま)工場を新設、のち日本ベークライト株式会社となり、55年(昭和30)に住友化工材(株)と合併して住友ベークライト(株)として現在に至っている。

垣内 弘]

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