ペチョラ川(読み)ぺちょらがわ(その他表記)Печора/Pechora

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペチョラ川」の意味・わかりやすい解説

ペチョラ川
ぺちょらがわ
Печора/Pechora

ロシア連邦北部を流れる川。ウラル山脈中部に発し、山脈北西部の流水を集めて北流、西流、また北流してバレンツ海に注ぐ。延長1809キロメートル、流域面積32万2000平方キロメートル。流域は中・上流コミ共和国、下流ネネツ自治管区に属する。外航船はナリヤン・マル河口から110キロメートル)まで、川船はペチョラ(河口から約700キロメートル)まで航行可能。10月末~5月に結氷し、春の融雪期と夏の降雨期に氾濫(はんらん)する。流域の大部分ツンドラ(永久凍土帯)であるが、ボルクタペチョラ炭田)の石炭、ウフタの石油など地下資源が豊富。上流をダムでせき止めて南へ流し、カマ川を通してボルガ川水系と連絡する計画がソ連時代にたてられていたが、実現していない。

[津沢正晴]

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改訂新版 世界大百科事典 「ペチョラ川」の意味・わかりやすい解説

ペチョラ[川]
Reka Pechora

ロシア連邦北西部の川。北部ウラルの約1100m峰より西に流れ落ち,北~西~北に流れて北極海の一部であるバレンツ海のペチョラ湾に流入する。中流以下は丘陵の間や広い平野を乱流し,両岸に多くの三日月湖や湿地をつくり,下流部の130kmの間は二つの流れに分流,最下流部は幅45kmの三角州をつくって終わる。長さ1809km,流域面積32万2000km2,北極海への流量は4100m3/s。春から夏の融雪水と降水で川は増水し,水位は11mも上昇し,はんらんする。10月下旬から翌年5月上旬(上流部)ないし下旬(下流部)まで結氷する。河口からナリヤン・マルまでの110kmは海航船も遡航し,さらにペチョラ市までは船が通じている。水運の動脈として石炭(総輸送量の30%以上),穀物などが運ばれ,木材流送が行われる。流域にペチョラ炭田(面積約9万km2)があり,深さ1800mより浅い炭層を採掘可能とすれば,埋蔵量は426億tと推定されている。また,ペチョラ川最上流部にダムを構築し,その貯水を南へ向けて,カマ川~ボルガ川~カスピ海へと流下させ,発電,灌漑,カスピ海の水位を上昇させるなどの総合計画が練られている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペチョラ川」の意味・わかりやすい解説

ペチョラ川
ペチョラがわ
reka Pechora

ロシア北西部,コミ共和国とネネツ自治管区を流れる川。全長 1809km。流域面積 32万 2000km2。ウラル山脈中北部に源を発し,山脈中を南西流したのちペチョラ平原を北,南西へ流れ,左岸にイジマ川を合せたのち北へ流れを変えて,バレンツ海のペチョラ湾に注ぐ。沿岸には三日月湖や湿原が広く分布する。 10月下旬~5月中旬は結氷。上流部のトロイツコペチョルスクまで定期航路があり,高水位期にはウラル西斜面のウスチウンヤまで航行可能。外洋船はナリヤンマルまで遡航する。木材流送にも利用され,沿岸では漁業が行われる。流域は石炭,石油の産地である。沿岸主要都市はペチョラ,ナリヤンマル。

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世界大百科事典(旧版)内のペチョラ川の言及

【コミ[共和国]】より

…おもな都市は首都シクティフカルSyktyvkar(人口22万6000)のほかにボルクター,ウフタ,インタ。国土の大半をペチョラ低地が占め,東端のウラル山脈と北西部から南東部に延びるティマン丘陵(最高点456m)の地域のみが比較的高い。国土の最北部(面積で13%)はツンドラであり,また12~15%が沼沢地である。…

※「ペチョラ川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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