ホムス(読み)ほむす(英語表記)Homs

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホムス」の意味・わかりやすい解説

ホムス
Homs

シリア中央部,ホムス県の北西部にある県都。アラビア語ではヒムシュ Hims。オロンテス川に沿い,南西にホムス湖を控え,海岸地方から内陸へいたる唯一の自然通路の東端に位置する。古代にはエメサと呼ばれ,付近にエジプトのラムセス2世ヒッタイトの王ムワタリシュ古戦場 (前 1299) がある。エメサには太陽神をまつる寺院があり,祭司を兼任する国王がローマ時代を通じて君臨していた。 636年イスラム教徒が占領し,ヒムシュと改名。オスマン帝国の支配下では州都に定められた。現在は商業都市として繁栄。農産物では大麦タマネギなどを,工業製品では宝石,絹織物綿織物毛織物,ベルト,マントなどを産する。 1959年国営製油工場が完成したほか,農業試験場,植物油,肥料,製糖などの工場がある。地中海沿岸地方と内陸部を結ぶ鉄道,道路の重要な分岐点であり,首都ダマスカスと北のアレッポを結ぶ道路上の要衝でもある。 642年にこの地で死んだアラブの名将ハーリド・イブヌル・ワリードモスクが建造され (1908) ,近くに十字軍時代の名城クラク・デ・シュバリエもある。人口 51万 8000 (1992推計) 。

ホムス[リビア]

フムス」のページをご覧ください。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホムス」の意味・わかりやすい解説

ホムス(リビア)
ほむす
Homs

北アフリカ、リビアの地中海沿岸にある港湾都市。首都トリポリの東120キロメートルに位置する。人口18万7900(2002推計)。周辺の農業地帯で生産される穀物柑橘(かんきつ)類、オリーブなどの農産物の取引や加工が行われる。観光地としても知られ、美しい海水浴場や東の郊外にローマ時代の古代都市レプティス・マグナの遺跡がある。

[藤井宏志]

世界遺産の登録

レプティスの都市遺跡が1982年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「レプティス・マグナの古代遺跡」として世界遺産の文化遺産(世界文化遺産)に登録された。しかし内戦に伴う政情不安などにより、2016年には危機遺産リスト入りしている。

[編集部 2018年5月21日]



ホムス(シリア)
ほむす
Homs

シリア西部の都市。ヒムシュimşともいう。首都ダマスカスの北135キロメートルに位置する。人口75万1500(2003推計)で、同国第三の都市。アレッポなどの主要都市に至る幹線道路が通じる交通の要地で、古くからオロンテス川流域の肥沃(ひよく)な平野で産する穀類、果実、綿花、繭の集散地。絹織物、宝石加工など伝統工業が行われる。イラクキルクークからバニヤースに至る送油管が通過し、石油精製、化学工業も盛ん。

[原 隆一]

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