ボトリオゲン(読み)ぼとりおげん(その他表記)botryogen

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボトリオゲン」の意味・わかりやすい解説

ボトリオゲン
ぼとりおげん
botryogen

マグネシウム(Mg)と三価の鉄(Fe3+)の含水塩基性硫酸塩鉱物。亜鉛置換体亜鉛ボトリオゲンとともにボトリオゲン系を構成する。乾燥気候地域では多量に生成されるが、日本では坑道掘削後に坑道壁上などに着生したものや、温泉作用の産物として生成されたものがみられる。自形は乾燥地域で生成されたものにみられ、c軸方向に伸びた長柱状をなすが、いったん溶けて再結晶したと判断されるものは大きな庇面(ひめん)をもった短柱状となる。微細粉末状、鍾乳(しょうにゅう)状、あるいは柱状結晶の放射状集合からなる球顆(きゅうか)となる。

 日本では鹿児島県串木野(くしきの)市(現、いちき串木野市)串木野鉱山の坑壁上に産するものが知られている。主成分のマグネシウムは母岩の堆積(たいせき)岩や火成岩、あるいはこれを含む温泉・冷泉水に、鉄および硫酸黄鉄鉱の分解あるいは液体包有物として含有されていた硫酸第一鉄溶液などに由来するものと考えられる。共存鉱物は硫酸塩で占められ、苦土毛礬(くどもうばん)pickeringite化学式MgAl2[SO4]4・22H2O)、コピアポ石copiapite(Fe2+Fe3+4[OH|(SO4)3]2・20H2O)、舎利塩epsomite(Mg[SO4]・7H2O)、石膏(せっこう)など。同定は黄色から橙色(とうしょく)の色調による。原鉱物である黄鉄鉱とは直接共存しないことが多い。可溶性。低硬度。非常にもろく、押すとつぶれる。粉末の色も固体とほぼ同様である。湿度の高い空気中では酸性臭気がすることがある。とくに粉末状のものは著しい。英名はギリシア語の「botrys(葡萄(ぶどう)の房)」と「gennan(生まれる)」の合成語である。

[加藤 昭 2018年10月19日]


ボトリオゲン(データノート)
ぼとりおげんでーたのーと

ボトリオゲン
 英名    botryogen
 化学式   MgFe3+[OH|(SO4)2]・7H2O
 少量成分  報告なし
 結晶系   単斜
 硬度    2~2.5
 比重    2.23
 色     黄、淡橙~橙
 光沢    ガラス
 条痕    黄~橙
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)

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最新 地学事典 「ボトリオゲン」の解説

ボトリオゲン

botryogen

化学組成MgFe3(SO42(OH)・7H2Oの鉱物。単斜晶系,空間群P21/n,格子定数a1.053nm, b1.787, c0.714, β100.1°,単位格子中4分子含む。晶癖柱状(001),条線あり(001),多くは腎臓状・ぶどう状・球状集合体。劈開{010}完全,{110}良好,断口貝殻状,脆弱,硬度2~2.5, 比重2.14。ガラス光沢,淡~暗橙赤色,条痕黄土色。透明~半透明。屈折率・多色性α1.523, X無色~淡褐;β1.530, Y黄褐:γ1.582, Z黄金, 2V(+)42°,光分散rv強。MgをFe2, Zn, Mn2が置換(Fe2+:Mg=1:1.55, Zn:Mg=1:2.9)。100℃以下で大半が脱水。HClに可溶。乾燥地域で黄鉄鉱床の二次鉱物として産出。ギリシア語のbotpus(一房のブドウ),gennan(生ずる),すなわち発見されたものがぶどう状の集合体であったことにちなみ命名。

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出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

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