マツバギク(読み)まつばぎく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マツバギク」の意味・わかりやすい解説

マツバギク
まつばぎく / 松葉菊
[学] Lampranthus spectabilis N.E.Br.

ツルナ科(APG分類:ハマミズナ科)の常緑多年草。茎は直立もしくは匍匐(ほふく)性で、古くなると木質化する。葉は肥厚した多肉質で対生し、円筒または三稜(さんりょう)形。葉の接合部は合着する。花は5~6月、多数群がって開く。花径は約5センチメートル、キクに似ており、金属的な光沢がある。花色は赤、桃、橙(だいだい)、黄色などと豊富である。葉のつき方がマツに似ており、花形がキクに似るのでマツバギクの名があるが、全体をある種のサボテンに見立て、サボテンギクの名もある。繁殖は実生(みしょう)もできるが、普通は挿木による。用土は水はけのよいものにする。鉢植えまたは花壇植えにするが、耐寒性は強く、関東地方以西では簡単な霜よけで越冬できる。

[長田清一 2021年2月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マツバギク」の意味・わかりやすい解説

マツバギク(松葉菊)
マツバギク
Mesembryanthemum spectabile; ice plant

ツルナ科の多肉質常緑の多年草。サボテンギクともいう。南アフリカ原産で,日本には明治初期に伝えられ,鉢植にしたり,暖地では石垣などに植えられている。茎は円柱形で多肉,基部は木質化し,下部は横にはう。多くの枝が上向きに出る。葉は3稜形の多肉質で先端は針状にとがり,緑色で対生する。夏,茎の先端にキクの花に似た紅紫色の大型の美花を単生する。花柄の中部に葉状の包葉が対生する。花弁線形で多数。おしべ多数,めしべの花柱は5本。花は朝,太陽の光を受けて開き,夕方には閉じる。果実は液質の 蒴果種子はできにくいが,挿芽でふやせる。本種に似て全体が小型のヒメマツバギク M. tenuifoliumもしばしば栽培されている。

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