インド南部,タミル・ナードゥ州南部の都市。人口92万2913(2001)。現在はおもに綿織物業が行われるが,かつてはパーンディヤ朝の首都として,またナーヤカの勢力の中心都市として栄え,シバとその神妃のミーナークシーとをまつったミーナークシー・スンダレーシュバラ寺Mīnākṣī-Sundareśvara(17世紀)で知られている。同寺はナーヤカの勢力がタミル地方に造営した多数のヒンドゥー教寺院の中でも最も著名で,インド南型建築の最末期の代表作例。東西約260m,南北約220mの広大な寺域はそれ自体が一種の町を形成し,高い囲壁の各辺中央に高さ45m余りのゴープラム(楼門)がそびえている。ゴープラム外壁を埋める無数の塑造彩色像は,図像学上は興味深いものの,形式化して力が乏しい。また柱には細緻な彫刻が施され,工芸化の極致に達したが,芸術的香気は失われた。
執筆者:肥塚 隆
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インド南部、タミル・ナド州南部の都市。マドゥラMaduraともいう。タミル・ナド平原の標高149メートルに位置し、年平均気温29℃、年降水量894ミリメートルの乾燥した熱帯サバナ気候の地である。人口92万2913、周辺部を含む人口119万4665(2001)。紀元前5世紀~紀元後14世紀に栄えたパーンディヤ王国および16~18世紀のナヤク王国の都で、17世紀にティルマーラ・ナヤクが建設したヒンドゥー教のミナクシ寺院で知られる。ミナクシ寺院は東西258メートル、南北222メートルの広さをもつ南インド様式の石造大寺院で、九つの大塔門(コープラム)をもつ。とくに東西南北にある大塔門は高さが46メートルあり、極彩色の彫像が外壁を埋める。産業は絹やモスリンの染色・織物工業が全国的に有名で、周辺で産出する米、タバコなど農産物の集散地であり、農産物加工業も立地する。国道7号線、49号線が通り、鉄道の結節点であり、東方のラメスワラムや南方のコモリン岬に通じる。
[成瀬敏郎]
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