日本大百科全書(ニッポニカ) 「マラニョン」の意味・わかりやすい解説
マラニョン(Gregorio Marañón)
まらにょん
Gregorio Marañón
(1887―1960)
スペインの作家、医学者。マドリード大学卒業後ドイツに留学し、内分泌学を専攻。教授職のかたわら科学的、医学的、文学的エッセイを発表、とくに臨床医学的な観点を生かした伝記物で斬新(ざんしん)な解釈を打ち出した。1930年にはオルテガ・イ・ガセーらと「共和制擁護のための集団」を結成し政治的発言も多くなる。内戦が勃発(ぼっぱつ)するとアメリカやフランスに亡命、1943年に帰国。思想的には穏健なリベラリストで、人類の未来と進歩を信じる楽観主義にたつ。代表作に『カスティーリャのエンリケ4世』(1934)、ドン・ファン解釈に新機軸を出した『ドン・ファン』(1940)、『ルイス・ビーベス』(1942)などがある。
[佐々木孝]