マレー文学(読み)マレーぶんがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マレー文学」の意味・わかりやすい解説

マレー文学
マレーぶんがく

マレー (マレーシア) のマレー語文学。口承文芸としては,動物寓話,滑稽物語,なぞなぞ,パントゥンなど民衆の間に広く伝わったもののほかに,専門の語り手が語り伝える物語もあった。記載文学の始りは 14世紀のイスラム伝来以降で,アラビア文字の採用によった。インド,アラブペルシア,ジャワ系の翻案物の多いなかで,マレーの歴史書『スジャラ・ムラユ』,英雄物語『ヒカヤット・ハントア』はマレーの古典文学として最も有名である。韻文としてはシャイールが行われた。これら古典文学と近代文学をつなぐ存在が 19世紀のアブドゥッラーである。近代小説は 1920年代後半からサイド・シェイフ (1867~1934) らによって始められた。第2次世界大戦後の作家,詩人としては,クリス・マス (22~ ) ,トンカット・ワラント (28~ ) ,A.サマッド・サイド (35~ ) ,アレナワティ (25~ ) ,シャーノン・アフマッド (33~ ) らがいる。

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