マーサーティドビル(英語表記)Merthyr Tydfil

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マーサーティドビル」の意味・わかりやすい解説

マーサーティドビル
Merthyr Tydfil

イギリスウェールズ南部の工業都市。単一自治体(ユニタリー unitary authority)。自治体の大部分は旧グラモーガン県に,北部の一部は旧ブレックノックシャー県に属する。1974年の自治体再編でミッドグラモーガン県の一地区となり,1996年に単一自治体となった。タフ川両岸の深い谷と,周辺の丘陵地からなる。地名は「殉教者ティドビル」の意で,5世紀にこの地で殺害されたキリスト教徒のウェールズ人土侯に由来。自治体の中央に位置するマーサーティドビル市は,カーディフの北北西約 35kmにあり,北部はブレコンビーコンズ国立公園の一部。周辺に鉄鉱資源が豊富で,1757~83年に四つの大規模な製鉄所が建設され,近代都市としての発展が始まった。1780年にはアメリカへ鉄を輸出するまでになり,19世紀半ばには市の製鉄所は世界最大規模を誇った。また南ウェールズ炭田の北縁部に位置していたため,製鉄業の発展に伴って,溶鉱炉用の石炭採掘も盛んになった。しかし 1920~30年代の不況の影響で,市の製鉄所が相次いで閉鎖され,炭坑の多くも操業を停止した。その結果,1932年には市の労働人口の半分以上が失業するという危機に直面したが,その後第2次世界大戦前から導入された新規軽工業がしだいに発展し,工業都市として再生近年は特に家庭用洗濯機の製造で知られる。単一自治体面積 111km2。単一自治体人口 5万4900(2005推計)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マーサーティドビル」の意味・わかりやすい解説

マーサー・ティドビル
まーさーてぃどびる
Merthyr Tydfil

イギリス、ウェールズ南部の工業都市。人口5万5983(2001)。産業革命までは静かな市場町であったが、南ウェールズ炭田の中央に立地する地の利により、18世紀に急速な発展を遂げ、この地方随一の鉄鋼業地に成長した。しかし19世紀末には重工業が海岸部へ移動し、現在では化学、家庭電機器具、靴下などの工業へ転換している。1804年、当地トレビシック蒸気機関車が、10トンの鉄と70人の人を乗せた列車を引くことに初めて成功した。

[久保田武]

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