マーストリヒト(読み)まーすとりひと(英語表記)Maastricht

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マーストリヒト」の意味・わかりやすい解説

マーストリヒト
まーすとりひと
Maastricht

オランダ南部、リンブルフ州の州都で、商工業都市。人口12万2163(2001)。ベルギー国境に接し、またマース川に沿うため、水陸交通の中心地であるとともに、付近の炭田を利用したセメント、ガラス、陶器製紙などの工業が発達する。1世紀にローマ人が建設し、ローマ時代以後はフランク王国に属し、382~721年には司教座都市として発展したが、1284年からはブラバン公とリエージュ司教の二重支配を受けた。戦略上の要地であるため、たびたび攻防の舞台となり、1579年にはパルマ公指揮下のスペイン軍によって包囲、略奪された。市内に残る聖セルファース教会は、マーストリヒトの初代の司教聖セルファースの墓の上に建てられた、オランダでもっとも古い教会の一つである。1991年には、EC(ヨーロッパ共同体)の首脳会議が開催され、マーストリヒト条約(ヨーロッパ連合条約)が採択された。高級レストランの多い観光都市でもある。

[長谷川孝治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マーストリヒト」の意味・わかりやすい解説

マーストリヒト
Maastricht

オランダ南部,リンブルフ州の州都。マース川の渡河地点に建設されたローマ起源の古い都市で,382年から 721年まで司教区がおかれ,その後フランク王国に属し,1204年からはブラバント公領,84年から 1632年まではブラバント公ならびにリエージュ大司教の共同所領。中世は交易の中心として布,皮革金物,建築材料などを扱ったが,現在はユリアナ,リエージュ=マーストリヒト,ゾイトウィレムスなどの運河網や鉄道交通の要地を占め,陶器,ガラス,セメント,たばこ製鋼,化学薬品などの工業が発達。観光と美術印刷も重要。マース川にかかる聖セルファース橋 (1280頃) ,宮廷 (1475頃) ,市庁舎 (1658~64) ,オランダ最古の聖セルファース大聖堂 (6世紀。 11~15世紀に再建) などがある。市の南方にはローマ時代からの砂岩採石場があり,地下には 322kmに及ぶトンネルがある。 1991年欧州連合 EUの出発を決定したマーストリヒト条約が結ばれた。人口 11万 8152,大都市圏 16万 3818 (1992推計) 。

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