ミュージックコンクレート(読み)みゅーじっくこんくれーと(その他表記)musique concrète フランス語

デジタル大辞泉 の解説

ミュージック‐コンクレート(〈フランス〉musique concrète)

楽音ほか、人の声や騒音など自然界の音を電気的な操作などによって加工・構成し、つくり上げる音楽具体音楽

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精選版 日本国語大辞典 の解説

ミュージック‐コンクレート

  1. 〘 名詞 〙 ( [フランス語] musique concrète ) 外界に存在する音を任意に録音し、それを電子音響機器によって加工・構成して定着した音楽。その最初の試みは一九四八年フランスで行なわれた。「具体音楽」とも訳される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ミュージック・コンクレート
みゅーじっくこんくれーと
musique concrète フランス語

非楽音(鉄道の音、人の話し声、動物の鳴き声、自然界の音など)を録音し、機械的、電気的な処理を加えて変質、重複して構成された音楽。具体音楽と訳される。イタリア未来派のルイジ・ルッソロの騒音楽器やフランスのサティのタイプライター(『パラード』)、バレーズサイレン(『イオニザシオン』)など、第二次世界大戦前にも試みられていたが、本格的な実践は1948年、ピエール・シェフェールのラジオ放送「騒音コンサート」が最初で、このときには『鉄道のエチュード』などが演奏された。

 彼と並ぶ代表者ピエール・アンリは『一人の男のための交響曲』(シェフェールとの共作、1949~50)や『平均律マイクロフォン』(1950~51)などをつくった。シェフェールとアンリとの共作オペラ『オルフェ53』(1953)、バレーズの『砂漠』がこの分野を完成したといえる。ブーレーズクセナキスベリオ黛敏郎(まゆずみとしろう)、柴田南雄(しばたみなお)、武満徹(たけみつとおる)らがさらに実験的作品を発表したが、シュトックハウゼンの電子音と少年の歌声の混成作品『少年の歌』(1955~56)以降、純然たるジャンルとしてのミュージック・コンクレートは定めがたくなり、電子音楽や従来の器楽音楽との融合のなかで生きているといえる。

[細川周平]

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