日本大百科全書(ニッポニカ) 「メイラード反応」の意味・わかりやすい解説
メイラード反応
めいらーどはんのう
Maillard reaction
酵素を介さずに糖とアミノ酸(タンパク質)が結合する反応。非酵素的反応ともよばれる。フランスの生化学者Louis Camille Maillard(1878―1936)によって発見された反応で、原語にそってマイヤール反応とも表記され、ほかに糖化反応またはグリケーションglycationともよばれる。さらに、還元糖とアミノ酸を混ぜて加熱すると褐色をした物質(メラノイジン)が生成されるため褐変反応ともよばれる。この反応は2段階で起こり、初期反応では糖のアルデヒド基とタンパク質のアミノ基が結合してシッフ塩基が形成された後にアマドリ化合物が形成される。その代表的なものが、改定された糖尿病診断基準にマーカーとして追加された糖化ヘモグロビン(HbA1c)である。この化合物はさらに脱水や重合あるいは酸化などの多様な後期反応を経て、デオキシグルコソンやメチルグリオキサールなどの中間反応生成物(ジカルボニル化合物)が生成され、最終的にAGEs(エイジス)(advanced glycation end-products、終末糖化産物)が生成される。
メイラード反応は、血糖値の上昇を伴う糖尿病などの生活習慣病を抱える人では亢進(こうしん)する。加齢とともに体内に増えるとされるAGEsが蓄積され老化が進む。ほかに、アルツハイマー型認知症の人でも蓄積が進むとされる。また、AGEsの血管への蓄積は脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞の原因ともなる。
[編集部 2016年7月19日]