ラスアルハイマ(その他表記)Ra's al-Khayma

デジタル大辞泉 「ラスアルハイマ」の意味・読み・例文・類語

ラス‐アル‐ハイマ(Ra's al-Khaima)

アラブ首長国連邦を構成する7首長国の一。連邦北東端に位置し、ムサンダル半島(オマーンの飛び地)の付け根を占める。連邦成立の翌1972年に加入した。ラアスアルハイマ。

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改訂新版 世界大百科事典 「ラスアルハイマ」の意味・わかりやすい解説

ラス・アルハイマ
Ra's al-Khayma

アラビア半島東部,ペルシア湾に面するアラブ首長国連邦の構成国。ラアス・アルハイマ,ラァスルハイマなどとも表記する。面積1700km2,人口21万(2005)。山間部と海岸部と島からなり,連邦内では珍しく変化に富む地形である。降水量は平均年150mmと連邦随一で,山間部では良質の水が得られる。山岳と海岸の間に耕地がひろがる。耕地面積は連邦最大で,農業人口も多い。ナツメヤシスイカ,トマトなど果樹,野菜のほかに羊,ヤギ,牛などの畜産もある。漁業も盛んである。山から採れる石がコンクリート用材料として貴重な輸出品になっている。

 数千年前とされる文明の遺物が発見されているのみならず,中世繁栄を示す10世紀ころの監視塔も残っている。ラス・アルハイマの北部にあるジュルファルはアケメネス朝時代までさかのぼる古い港町で,マルコ・ポーロの《東方見聞録》にもその名が記されている。16世紀以後はヨーロッパとアラブ抗争の拠点となり,その遺構もある。18世紀以降はアラブのカワーシム(ジョワーシミー)族がシャルジャおよびラス・アルハイマに根を下ろし,ヨーロッパ人に対抗して一時はホルムズ海峡支配権を握ったこともある。1820年カワーシム族はイギリス艦隊に敗北,以後休戦協定が結ばれ,彼らの勢いは急速に衰えていった。1869年には,ラス・アルハイマはシャルジャから実質的に独立する(イギリスが公式に独立を認めたのは1921年)。現在の首長も,このワーシム族の出である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラスアルハイマ」の意味・わかりやすい解説

ラスアルハイマ
Ra's al-Khaymah

アラブ首長国連邦を構成する首長国の一つ。ペルシア湾岸に 56kmの海岸線をもつ,北方のルウースアルジバール岬の部分と,南部の内陸部分に2分される。首都はラスアルハイマ。もともとはシャルジャの一部であり,町は海賊の重要な基地であった。 16世紀以後,ポルトガル,ペルシアの争奪の的となっていたが,19世紀にイギリスが湾岸最大の勢力となると,スルタンはイギリスと休戦条約を結んだ。その後一時独立したが,シャルジャに帰属させられ,ようやく 1919年にトルーシアルステーツの一国としてイギリスに承認された。 72年アラブ首長国連邦に加盟した。連邦内では珍しい農業国で,人口の 40%が農業に従事し,野菜,果物,柑橘類,ナツメヤシなどが,首都周辺で栽培されている。面積約 1700km2。人口 13万 (1991推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラスアルハイマ」の意味・わかりやすい解説

ラス・アル・ハイマ
らすあるはいま
Ras al Khaima

アラブ首長国連邦を構成する7首長国の一つ。同連邦北東端に位置する。ほかの6首長国よりやや遅れ、1972年2月に連邦に加盟。面積1683平方キロメートル、人口約18万1400(2001推計)。国土の大部分はペルシア湾岸の低地と山岳地帯からなる。天水や山岳地帯からの地下湧水(ゆうすい)に恵まれ、農業が盛んで、連邦内の果実、野菜、ナツメヤシ、家畜の供給基地となっている。近年、工業や観光にも力を入れている。海岸および海底油田の開発も進行中である。

[原 隆一]

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