ラッダイト運動(読み)らっだいとうんどう(英語表記)Luddite movement

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラッダイト運動」の意味・わかりやすい解説

ラッダイト運動
らっだいとうんどう
Luddite movement

1811年から1816年ごろにかけて、イギリスで起こった労働者による機械打ち壊し運動。ラダイト運動ともいう。1811年3月、ノッティンガムの編み物工たちによって工業用機械の破壊が始められ、のちヨークシャーの羊毛工業労働者、ランカシャーの綿工業労働者などに波及した。指導者として架空の人物であるとされているネッド・ラッドNed Ludd(ネッド王、ネッド将軍ともいう)の名があげられたところから、この名でよばれている。単なる反近代的運動ではなく、機械の破壊などの威嚇行為を行うことによって、賃金をはじめとする労働条件の改善を求めた運動であり、労働組合運動が発展する以前の段階における労働者による集団交渉の一形態であった。1812年4月のローフォード工場への襲撃事件などが有名であるが、このころから政府によって、中心的参加者の処刑軍隊動員などの抑圧策がとられたため、運動は1816年ころ沈静化した。

[岡本充弘]

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