ルビコン川(読み)ルビコンガワ

デジタル大辞泉 「ルビコン川」の意味・読み・例文・類語

ルビコン‐がわ〔‐がは〕【ルビコン川】

Rubicon》古代ローマ共和政時代に、属州ガリアイタリアとの境をなした川。ラベンナ付近でアドリア海に注ぐフィウミチーノ川に比定される。前49年、ポンペイウスとの対決を決意したカエサルが「さいは投げられた」と叫び、元老院令を無視して渡河したという故事で知られ、重大な行動に出るたとえとして「ルビコンを渡る」と用いられる。

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精選版 日本国語大辞典 「ルビコン川」の意味・読み・例文・類語

ルビコン‐がわ‥がは【ルビコン川】

  1. ( ルビコンはRubicon ) 古代ローマ共和政時代、イタリアと属州ガリアの境となっていた川。紀元前四九年カエサルが任地からローマに進撃した時、「骰子(さい)は投げられた」と叫んで渡河したと伝えられる。現在のフィウミチーノ川にあたると推定される。

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改訂新版 世界大百科事典 「ルビコン川」の意味・わかりやすい解説

ルビコン[川]
Rubicon

イタリア北部,リミニ付近でアドリア海に注ぐ川の古代ローマにおける名称。ルビコRubicoともいい,イタリア語ではルビコネRubicone。ローマ時代にイタリアと属州ガリア・キサルピナの境をなしていた。現在のルビコネ川(別名フィウミチノ川)と同一かどうかについては議論が分かれている。古代ローマでは,軍隊がこの川を渡ってイタリア側に入るときは武装を解かねばならないとされていた。前49年1月10日,属州ガリアの長官であったカエサルはその禁を破り〈賽(さい)は投げられたjacta alea est〉の句を吐いて軍隊を率いて渡河し,ポンペイウスとの戦いに入ったという。以後,重大な決断を下して事態に対処することを〈ルビコン川を渡る〉と称する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルビコン川」の意味・わかりやすい解説

ルビコン川
るびこんがわ
Rubicon

共和政期ローマにおいて、属州ガリア(ガリア・キサルピナ。「アルプスのこちらのガリア」の意)とイタリアの境界になっていた川。ラベンナとアリミヌムの間を流れ、アドリア海に注ぐ細流。どの流れをルビコン川に比定するか、古来諸説紛々としていたが、現在ではフィウミチーノ川がルビコン川にあたるとみられている。紀元前49年1月、カエサルが、メナンドロス詩句の一部「賽(さい)は投げられた」(正確には「さいころは投げてしまおう」)と叫んで、乾坤一擲(けんこんいってき)、この国境の川を越える国法侵害のうえ、ポンペイウス一派との内乱に突入したことで有名である。

[長谷川博隆]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ルビコン川」の解説

ルビコン川(ルビコンがわ)
Rubico[ラテン],Rubicon[英]

イタリアの小河川。リミニの北でアドリア海に注ぐ。古代ローマ(スラ以後)ではイタリアとアルプスの内側ガリアの境界をなした。カエサルが前49年ポンペイウスを討とうとして「骰子(さい)は投げられた」と叫んで渡河した故事で知られる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルビコン川」の意味・わかりやすい解説

ルビコン川
ルビコンがわ
Rubicon

イタリア中部を東流し,アンコナ北西約 92km,リミニのすぐ北西でアドリア海に注ぐ小さな川。全長 24km。前 49年,内乱を起したカエサルが,当時ローマとガリアの境界線であったこの川を,法に反して兵に渡らせローマに進軍した。その故事から決定的一歩を踏出すことを意味する「ルビコンを渡る」という有名な言葉が生れた。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ルビコン川」の解説

ルビコン川
ルビコンがわ
Rubicon

イタリア中部を東流してアドリア海に注ぐフィウミチーノ川の旧称
前49年,当時ガリアにあったカエサルが,元老院の命に反して宿敵ポンペイウスを討つためローマに進軍し,この川を渡るとき,「骰子 (さい) は投げられた」と叫んだという。

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世界大百科事典(旧版)内のルビコン川の言及

【カエサル】より


[内乱]
 前54年に,ポンペイウスに嫁した娘ユリアが死に,前53年クラッススが東方パルティア遠征で倒れると,いわゆる三頭政治は崩壊し,元老院の保守派と結んだポンペイウスとの関係も悪化する。特に前51年来,カエサルの召還,軍隊解散をめぐって,事態は険悪化の一途をたどり,前49年1月7日の元老院最終決議に対して,カエサルは,兵を率いたまま,〈賽(さい)は投げられた〉の言葉とともにガリアとイタリアの境のルビコン川を渡って,ポンペイウスを擁する元老院の保守派との内乱に突入した。首都に進撃し,イタリアを制圧したため,両コンスルおよび元老院議員の大多数はポンペイウスとともに東方に逃れた。…

※「ルビコン川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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