乾坤一擲(読み)ケンコンイッテキ

  • ▽乾×坤一×擲

とっさの日本語便利帳の解説

サイを投じて天か地か大きな賭けに出る。「イチバチか」よりがいい。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

さいころを擲(な)げて、その1回だけの賽(さい)の目に、天が出るか地が出るかを賭(か)けることをいう。「乾坤」は天地のこと。「一擲乾坤を賭(と)す」ともいい、運を天に任せて、のるかそるかの大勝負をすることをいい、中国、唐の韓愈(かんゆ)の「鴻溝(こうこう)を過ぎるの詩」に、「誰(たれ)か君王に勧めて馬首を回(めぐ)らし、真成一擲乾坤を賭ける」などとある。

[田所義行]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 さいころを投げて、天が出るか地が出るかを賭(か)けること。自分の運命をかけるような大仕事、大勝負をすること。一擲乾坤を賭す。いちかばちか。
※新版由比正雪(1912)〈小泉三申〉六「御三家の名門、徳川頼宣なる一箇の好英雄を、自家が野心の道具に使ひ、平談暢話の間に乾坤一擲的事業の基礎を築きたり」

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四字熟語を知る辞典の解説

さいころを投げて、天が出るか地が出るかをかけること。自分の運命をかけるような大仕事、大勝負をすること。

[使用例] 主人公の老富豪が取引所の柱の陰に立って乾坤一擲のだいばくを進行させている最中に、従僕相手に五十銭玉一つのかけをするくだりがある[寺田寅彦*映画雑感―ロスチャイルド|1935]

[使用例] とくにクロパトキンは、「奉天以北には一歩も退かず」と宣言しており、かれなりに乾坤一の決戦を日本軍に強いるつもりであった[司馬遼太郎*坂の上の雲|1968~72]

[使用例] 一九六八年のテット攻撃で解放戦線は『総反攻・総蜂起』を試み、“ヴェトナム史上千年に一度”という乾坤一擲の行動にでたのだったが壊滅的打撃をうけた[開高健*サイゴンの十字架|1973]

[解説] 唐代の詩人・かんの作品に「鴻溝こうこうを過ぐ」という詩があります。こうりゅうほうの戦いを詠んでいます。休戦となって、両軍が東西に別れた後、劉邦は急にUターンして項羽を攻撃します。
 「誰か君主に馬首をめぐらすを勧めて、真に一擲乾坤をするを成せる」(=誰が劉邦に馬の方向を変えさせ、大勝負に出るようにさせたのだろうか)
 これが「乾坤一擲」の出典です。「乾坤」は「いちかばちか」の意味。「一擲」は思い切ってサイコロを振ること。つまり、大勝負に出る、ということです。「擲」は「なげうつ」と読む字です。
 難しい漢字を含むことばですが、スポーツ選手の座右の銘にもなっています。勝負の世界に生きる人にとっては実感のこもったことばなのでしょう。
 以前、養毛剤の会社が「乾坤一滴」という広告を出していたことがあります。「一滴垂らす」にかけものでしたが、これは高度すぎるシャレでした。

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