ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルーベ」の意味・わかりやすい解説
ルーベ
Loubet, Émile (-François)
[没]1929.12.20. モンテリマール
フランスの政治家。第三共和政第7代大統領(在任 1899~1906)。弁護士を経て 1876年に下院議員となり,共和党の理念を支持して,特に普通初等教育の無償化・義務化の実現のために働いた。1885年上院議員,1887年12月から 1888年3月まで公共事業大臣。1892年2月に首相および内務大臣に就任したが,パナマ事件のため 11月に辞任。しかし後任首相のもとで短期間内務相を続けた。1899年共和国大統領に就任。ドレフュス事件を解決に導いた。ユダヤ人将校アルフレッド・ドレフュスが 1894年に不確かな証拠により反逆罪とされた事件は,フランス社会を二分する騒ぎを引き起こしていた。流刑地のディアブル島から呼び戻されたドレフュスは,軍法会議によって再び有罪となったが,ルーベは特赦を与え,国外追放命令を撤回した。この措置は共和党勢力の,王統派,カトリック教会の聖職者,軍部に対する勝利を示すものとなった。もうひとつの業績は,1905年にフランス国家と教会の完全な分離を成し遂げたことである(→政教分離法)。外交にも積極的で,ロシアのニコライ2世,イギリスのエドワード7世などを訪問したほか,イタリアのビットリオ・エマヌエレ3世を訪問してローマ教皇ピウス10世を激怒させた。1904年4月にはイギリスとフランスの植民地をめぐる対立を解消する英仏協商を締結し,イギリスとの関係を改善した。
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