日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロッドベル」の意味・わかりやすい解説
ロッドベル
ろっどべる
Martin Rodbell
(1925―1998)
アメリカの生化学者。メリーランド州ボルティモア生まれ。1943年ジョンズ・ホプキンズ大学に入学し生物学を専攻、海軍で無線技師としての兵役(2年間)をはさんで1949年卒業。1950年ワシントン大学に進学し生化学を研究、1954年に博士号を取得。イリノイ大学での研究を経て、1956年よりアメリカ国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)で研究。1994年に退職し、名誉研究員となる。1998年心臓病で死去。
細胞外からのシグナルが細胞膜上の受容体で受け取られ、細胞内の酵素の活性化という形で実行される際、受容体と酵素の間で情報伝達に関与する分子が存在することを1960年代に提唱した。1970年に一連の情報伝達にグアノシン三リン酸(GTP)分子が必要なことを発見。1977年にはA・ギルマンがGTPによって活性化するGタンパク質の単離精製に成功し、中間伝達物質の存在が実証された。その後、多くの種類のGタンパク質が発見され、その構造や情報伝達機構が明らかになると、Gタンパク質の異常が糖尿病などの病気にも関与することがわかり、医学生物学分野の進展に大きく貢献した。これらの功績により、ギルマンとともに1994年のノーベル医学生理学賞を受賞した。
[馬場錬成]