アカヒゲ(読み)あかひげ(その他表記)Ryukyu robin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アカヒゲ」の意味・わかりやすい解説

アカヒゲ
あかひげ / 赤鬚
Ryukyu robin
[学] Erithacus komadori

鳥綱スズメ目ヒタキ科ツグミ亜科の鳥。日本特産種。コマドリ近縁種で、上面は暗赤色、雄はのどから胸が黒く腹は白いが、雌は下面全体が灰色。全長約14センチメートル。南西諸島と長崎県の男女(だんじょ)群島に限り分布し、渡りもしない。よく茂った森林、とくに渓谷にすみ、地上を跳ね歩きながらおもに昆虫などの動物質のものをとる。シイなどの高木、崖(がけ)のくぼみなどに巣をつくり、3~5個の卵を産む。さえずりはコマドリに似るが、細い声である。国の天然記念物ならびに特殊鳥類に指定されている。

[竹下信雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アカヒゲ」の意味・わかりやすい解説

アカヒゲ
Erithacus komadori; Ryukyu robin

スズメ目ヒタキ科。種小名の komadori は原記載者のコンラート・J.テミンクがコマドリとアカヒゲをまちがって命名したもので,コマドリの種小名が akahige となっている。全長 14cm。雄は額から胸にかけて黒く,背面は赤褐色。腹部白色で脇に黒色斑がある。雌は雄の黒色部を欠き,胸は灰褐色と白色のまだら模様。美しい声でさえずる(→さえずり)。屋久島種子島男女群島琉球諸島に生息する日本固有種で 3亜種が生息地を分けて分布しているが,ウスアカヒゲ E. k. subrufus与那国島で採集された 1羽の標本があるだけで,過去 50年以上生息の記録がない。よく茂った常緑広葉樹林に生息する。1970年国の天然記念物に指定。

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改訂新版 世界大百科事典 「アカヒゲ」の意味・わかりやすい解説

アカヒゲ
Ryukyu robin
Erithacus komadori

スズメ目ヒタキ科の鳥。全長約14cm,大きさや形はコマドリによく似ているが,雄の体上面は橙赤色で,のどから胸は黒く,腹が白い。雌は全体に雄より淡く,下面の黒色部もない。屋久島,種子島,男女群島,奄美大島,沖縄諸島,先島諸島の常緑広葉樹林に生息しており,渓流ぞいの林に多い。4~6月の繁殖期には一定地域のテリトリーを占有し,そこで1雄1雌がつがいになって繁殖する。雄はテリトリー内でコマドリとコルリの声をいっしょにしたような美しい声でさえずる。地上や地表付近の低木中を移動し,昆虫をとって食べる。高木の樹洞,渓谷の崖のくぼみなどに巣をつくり,赤クリーム色の地に赤褐色の斑点のある卵を3~5個産む。詳しい生態はまだよくわかっていない。国の天然記念物(1969)および特殊鳥類に指定されている。
コマドリ
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百科事典マイペディア 「アカヒゲ」の意味・わかりやすい解説

アカヒゲ

ヒタキ科の鳥。翼長7.5cm,コマドリに似るが,背面が赤だいだい色でのどは黒い。南西諸島の固有種で山間の森林に一年中すむ。地上のくぼみなどに枯葉,コケなどを集めてわん形の巣を作り,昆虫,ミミズをおもに食べる。天然記念物。絶滅危惧II類(環境省第4次レッドリスト)。

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世界大百科事典(旧版)内のアカヒゲの言及

【シバエビ(芝蝦)】より

…暖海の沿岸近くにすむ甲殻綱クルマエビ科のエビで,淡青色の地に青色の小斑点が多数ある(イラスト)。触角が赤いため,地方によってはアカヒゲと呼ぶ。東京湾,瀬戸内海,有明海などの水深10~30mの泥底に多く,東シナ海,黄海,南シナ海にも分布する。…

※「アカヒゲ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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