コマドリ(読み)こまどり(英語表記)Japanese robin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コマドリ」の意味・わかりやすい解説

コマドリ
Erithacus akahige; Japanese robin

スズメ目ヒタキ科。種小名の akahige は原記載者のコンラート・J.テミンクがアカヒゲコマドリをまちがって命名したもので,アカヒゲの種小名が komadori になっている。繁殖期には「ひん,かららら……」と聞こえる美しい声でさえずり(→さえずり),これがウマのいななきのように聞こえることが駒鳥という和名の由来である。全長 14cm。顔,喉,上胸部は赤褐色,頭上,背,は暗赤褐色,尾は赤褐色。上胸から腹部灰色下腹部は白色。体のわりに脚は長い。日本にのみ繁殖分布し,中国南部に渡って越冬するが,本州中部以南でも少数が越冬している(→渡り鳥)。平地から高山の森林や,山地の深い笹藪などに繁殖する。暗いところを好み,あまり姿は見られない。伊豆七島屋久島に分布する亜種タネコマドリ E. a. tanensis留鳥である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コマドリ」の意味・わかりやすい解説

コマドリ
こまどり / 駒鳥
Japanese robin
[学] Erithacus akahige

鳥綱スズメ目ヒタキ科ツグミ亜科の鳥。日本特産種で、九州から北海道にかけて繁殖し、冬は中国南部で過ごす。学名の種小名が同属のアカヒゲE. komadoriと入れ違っているのは、両種を記載したオランダの博物学者テミンクC. J. Temminck(1778―1858)が誤ったものとされる。ヨーロッパ人にもっとも親しまれている鳥の一つで、単にrobinの英名でよばれるヨーロッパコマドリE. rubeculaも同じ属の鳥である。コマドリのさえずりは、全長14センチメートルの小形の鳥にしては声量があり、「ヒンカラカラカラ」と聞こえてウマのいななきに似ているのが和名の由来であるといわれる。江戸時代には勇壮な声だとして武士に好んで飼われ、また、ウグイスオオルリとともに鳴き声の美しい三名鳥の一つとされて、1970年代まで盛んに飼育された。雄は上面が赤褐色、頭部から胸は橙赤(とうせき)色、腹は汚白色。尾は橙(だいだい)色で、さえずるときには尾を立て、扇のように広げる。

 島で繁殖するものは海岸近くにすむが、本州中部では標高1000~2000メートルの、ササが下草として茂った天然林にすむ。地上に巣をつくり、3~5個の卵を産む。ホトトギス科のジュウイチがしばしばこの巣に托卵(たくらん)する。おもに地上で昆虫を捕食する。

[竹下信雄]

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