アクロバット

精選版 日本国語大辞典 「アクロバット」の意味・読み・例文・類語

アクロバット

〘名〙 (acrobat)
曲芸師。軽業師。〔モダン用語辞典(1930)〕
② 曲芸。軽業。危ない芸当。
オリンポス果実(1940)〈田中英光〉六「ダイビングの女子選手が〈略〉飛びこむ。アクロバットなどより真面目な美しさです」

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デジタル大辞泉 「アクロバット」の意味・読み・例文・類語

アクロバット(acrobat)

曲芸。軽業かるわざ。また、それをする人。軽業師。
アドビアクロバット
[類語]曲芸芸当軽業離れ業曲技サーカス軽業師

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百科事典マイペディア 「アクロバット」の意味・わかりやすい解説

アクロバット

曲芸的技能を行う曲芸師や軽業師を意味するとともに,彼らの行う宙返りや玉乗り,ぶらんこ乗りなどの曲芸軽業といわれる巧技系の運動そのものを意味する。本来は,ギリシア語の〈先端を歩く〉こと,つまり綱渡り芸を意味した。肉体の極端な柔軟性を見せることを目的とした舞踊(アクロバティック・ダンス)をさす場合もある。 曲芸は,体技的な熟練を見せる軽業的なものと手先の芸を見せる手品や奇術の類いに大別できる。体技的なものは,(1)力わざを主とするもの,(2)柔軟な芸を主とするもの,(3)平衡を保つ芸を主とするもの,(4)空中芸を主とするものなどに分けることができる。狭い意味でのアクロバットは平衡を保つ芸に入る。 古代エジプトで有名であった綱渡り芸人の芸は,小アジアへ伝えられ,ここを一つの拠点として,ギリシアやローマへ,ペルシアを経てインドへ,あるいは西域,中国,日本へと伝えられたと考えられる。だが,1519年コルテスがメキシコに渡ったとき,アステカ族アステカ王国参照)により偶像の前で各種の競走,格闘などとともにバランス棒を用いない綱渡りが行われていたことが知られている。これは,綱渡りの芸の伝播(でんぱ)について語れるものが限られていることを物語っている。 古代のアクロバットは女性主体であったが,中世以降,男性も表舞台に登場するようになる。市民祭でのギルド単位のピラミッドビルディングなどは,芸人たちにも大きな刺激を与えた。近代に至るまで,曲芸師らの見世物の人気は衰えず,18世紀ルイ14世時代のフランスには,アクロバットの指導者組合も設立された。当時の社会の一大絵巻というべきゲーテの《ウィルヘルム・マイスターの徒弟時代》(ウィルヘルム・マイスター参照)には,市場における芸人集団の姿が活写されている。 現代のアクロバットは,綱の高さや傾斜の度合,綱渡りの継続時間など記録への挑戦,サーカスやミュージックホールなどでの見世物芸,あるいは競技として,一定の条件下で技のできばえを競うスポーツアクロバットなどに,その方向性を見出している。スポーツアクロバットの競技内容は,力わざ,柔軟性の要素をもったもの,床の上や空中の芸などであり,ぶらんこや綱,棒,自転車,ローラー,弾力板などを用いる。1973年に〈国際芸術スポーツ連盟〉がモスクワに設立され,ドイツロシアなどを中心に振興がはかられている。
→関連項目サーカス新体操ミュージック・ホール

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改訂新版 世界大百科事典 「アクロバット」の意味・わかりやすい解説

アクロバット
acrobat

アクロバットの語は,ギリシア語のakrobatos(爪先で歩く者)に由来する。古代ギリシア・ローマから,中世を経て現代まで,祭りなどに大道芸として職業化したが,18世紀半ばからサーカスの演目に採り入れられ,19世紀末からはミュージック・ホールの出し物としても欠かせないものとなった。内容は大別して三つに分類することができる。第1は主として力業(ちからわざ)が基になるもので,重量挙げをはじめ,エジプト渡来といわれる〈人間ピラミッド〉など並はずれた腕力を必要とするものである。第2は体の柔軟さを基本とするもので,跳躍,とんぼ返り,空中ブランコなど身軽さを売物とするもの。第3は平衡を保つ芸で,綱渡り,はしご乗り,自転車曲乗りなどである。以上のほかに,ダンスのなかにこれらの芸をはさんだアクロバット・ダンスが別個に発達しているが,いずれも特殊な技術としてそれぞれ伝承・養成されている。演劇においては,コメディア・デラルテの伝統演技を採り入れたイタリアのピッコロ・テアトロのストレーレル演出や,芝居の前に必ず曲芸を見せるサバリの〈グランド・マジック・サーカス〉などが有名。
曲芸
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アクロバット」の意味・わかりやすい解説

アクロバット
あくろばっと
acrobat

軽業(かるわざ)のこと。語源はギリシア語の「つまさきで歩く」からきたといわれる。体の柔らかさとスピードが要求され、バレエのトゥール・アン・レール(跳躍しながらの回転)、エジプトの奴隷の舞踊から生まれたといわれるブリッジ、コメディア・デラルテにみられる盆にコップをのせたままのでんぐり返しなどが代表的なものである。日本では高足駄を履いて綱渡りをする蜘蛛舞(くもまい)、空中を跳躍する蓮飛(れんとび)、肩の上に人を乗せて疾駆する人馬(ひとうま)、空中回転の「とんぼ」などの雑芸(ぞうげい)として発達した。歌舞伎(かぶき)の宙乗りは綱に滑車をつけ俳優の背中から吊(つ)るすが、アクロバット的な要素が強い。同種の宙吊りは19世紀のロマンチック・バレエで妖精(ようせい)の登退場に用いられた。「天狗(てんぐ)の飛行」「蛙(かえる)の一足(いっそく)」などと動物の名がついていることが多いが、人間の体のもつ法則から逸脱して、超人的演技によって、超人と化すことを目的としているからであろう。現代では各国のサーカスのなかにこれらアクロバットの芸が集約されている。

[市川 雅]

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IT用語がわかる辞典 「アクロバット」の解説

アクロバット【Acrobat】

「Adobe Acrobat(アドビアクロバット)」の略。⇒Adobe Acrobat

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パソコンで困ったときに開く本 「アクロバット」の解説

アクロバット

⇨Acrobat

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世界大百科事典(旧版)内のアクロバットの言及

【曲芸】より

…【織田 紘二】
[外国の曲芸]
 ヨーロッパにおいても,曲芸は古くからおこなわれていた。曲芸,軽業を意味するアクロバットacrobatはギリシア語のアクロスakros(先端)とバトスbatos(行く)からきた言葉で,つまさきで歩くことを意味し,初めは〈綱渡り〉のことをいっていた。ギリシアには綱渡りを教える学校が設けられ,ホメロスの詩も曲芸師に言及している。…

【曲芸】より

…【織田 紘二】
[外国の曲芸]
 ヨーロッパにおいても,曲芸は古くからおこなわれていた。曲芸,軽業を意味するアクロバットacrobatはギリシア語のアクロスakros(先端)とバトスbatos(行く)からきた言葉で,つまさきで歩くことを意味し,初めは〈綱渡り〉のことをいっていた。ギリシアには綱渡りを教える学校が設けられ,ホメロスの詩も曲芸師に言及している。…

【大道芸】より

…彼らは金銭の取得を目的としたために,宗教上・商業上の行事や人集め,また宴の余興に雇われることも多かった。しかし彼らが行う技芸そのものは神事や儀礼といった宗教的起源を有し,アクロバット(もとになったギリシア語akrobatosは〈爪先立って歩く〉の意)にしてもクレタ島では神聖な儀式として演じられていた。したがってこれらの技芸は特定の集団や地域に継承される例が多く,たとえば馬を踊らせたり曲乗りをしたりする技術は古代ギリシアのシュバリスで高い水準に達した。…

※「アクロバット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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