アナフィラキシー(英語表記)anaphylaxis

  • (皮膚の病気)
  • Anaphylaxie
  • アナフィラキシー(アレルギー性疾患)

翻訳|anaphylaxis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アレルギーの一型で,即時型過敏症反応に属する。アナフィラキシーという語は防護を欠くという味で,アレルギーより古く,1898年にフランスの生理学者 C.リシェによって初めて用いられた。動物にウサギ血清を注射したところ,初回はなんら異変が生じなかったのに,2度目の注射では,ときとして致命的な過敏症反応が生じた。人間の場合にも,2度目の注射後数分以内に喉頭浮腫や血管虚脱を起し,いわゆるアナフィラキシーショックに陥って死亡することがある。ペニシリンショックは代表的なアナフィラキシーである。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

食事や薬剤投与などが原因で、じんましん腹痛呼吸困難といった複数の症状同時かつ急激に現れるアレルギー反応。死に至ることもある。全国の公立学校を対象にした昨年の文部科学省調査によると、食物アレルギーのある子は全体の4.5%にあたる約45万人にのぼり、うち約5万人にアナフィラキシーの経験があるとされた。

(2014-05-31 朝日新聞 朝刊 神戸 1地方)

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百科事典マイペディアの解説

抗原性をもつ物質で動物を処置(たとえばモルモットにウマ血清を数回注射)すると,一定期間後の再処置に対し,特有のショック症状を呈する。この過敏な状態をアナフィラキシー(過敏症)という。アレルギーの一形態で,抗原抗体反応によってヒスタミンなどの化学伝達物質が細胞内より遊離し,平滑筋の収縮,毛細血管の透過性亢進,腺からの分泌亢進をひき起こし,病的過程を主とする全身症状。
→関連項目アレルギー反応感作減感作療法ショック遅延反応ペニシリン

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栄養・生化学辞典の解説

 抗原抗体反応により引き起こされる激しい症状で,即時型過敏反応の一つ.全身反応の強いときにはアナフィラキシーショックとよばれ,ときに死に至る.

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世界大百科事典 第2版の解説

ラテン語のana()とphylaxis(防御)からなり,〈無防御〉を意味するが,医学的にはアレルギー性反応の一つのタイプをさす。フランスの生理学者リシェCharles R.Richet(1850‐1935)によって1902年に命名された。リシェはイソギンチャク触手から抽出した毒素イヌに注射して(免疫)毒素の研究を行っていたが,第2回目の毒素を微量注射したところ,イヌは過敏状態になっていて,中毒量よりはるかに少ない量にもかかわらず,激しい症状を示して死亡することを発見した。

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大辞林 第三版の解説

抗原抗体反応の一。ある抗原で免疫を得た生体が、同じ抗原の再投与に対してショック症状などの過敏な反応を示すこと。

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知恵蔵miniの解説

急性の激しいアレルギー症状が全身の複数の臓器で見られる状態のこと。アレルギーを起こす元となる物質(アレルゲン)が体内に入ることにより、そのアレルゲンに異常反応する体質の人が発症する。主に、皮膚粘膜・呼吸器・消化器・循環器がアレルギーを起こし、じんましん・せき・呼吸困難・目のかゆみ・の腫れ・腹痛・嘔吐などを引き起こす。そのうち1割程度は、急激な血圧低下や意識障害などを起こすアナフィラキシー・ショックに至り、生命に危険な状態となる。厚生労働省による2011年の統計では、アナフィラキシーによる年間死亡者数は71名。うち薬物によるものが32名、蜂毒関係が16名、食物が5名、詳細不明が18名となっている。

(2014-8-27)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

即時型(型)アレルギー反応の結果、血圧低下、呼吸困難などの重篤な全身症状(アナフィラキシーショック)を呈するものをいう。この語は1902年フランスの生理学者リシェC. R. Richetらがイソギンチャク毒素の研究中、イヌに毒性症状の出ない微量の毒素を注射したのち、一定時日を経てふたたび微量の毒素を注射すると、イヌは激烈なショック症状をおこして死亡するのを認め、アナフィラキシー(防御phylaxisが消失した状態の意)と名づけたのに由来する。型アレルギー反応により遊離された化学伝達物質が、毛細血管を含めた小血管の透過性亢進(こうしん)、平滑筋収縮をきたすのがその本態である。
 ヒトのアナフィラキシーは、異種抗血清、減感作(げんかんさ)療法用抗原液、臓器・酵素製剤、抗生剤とくにペニシリン製剤、解熱鎮痛剤などの注射で生ずることが多いが、その他の投与経路でもおこることがある。多くは投与直後から数分以内、大部分は15分以内におこる。口内異常感、口唇・手足のしびれ感、顔・上半身の熱感、喉頭狭窄(こうとうきょうさく)感、胸内苦悶(くもん)感、心悸(しんき)亢進、吐き気、尿意、便意などに次いで、血圧低下、脈拍頻数微弱、チアノーゼ、呼吸困難、喘息(ぜんそく)様発作などが現れ、さらには意識消失、けいれん、失禁なども出現し、死亡することも少なくない。死亡例の大多数は症状出現後30分以内に死亡しており、初期の急性循環不全と気道狭窄に対する救急処置の適否が予後を左右する。薬剤としてはアドレナリン、副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤、アミノフィリンなどが用いられるが、血管確保と補液、気道確保も欠かせぬ処置である。[高橋昭三]

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内科学 第10版の解説

定義・概念
 アナフィラキシーは多臓器にわたる全身反応であり,一般的には抗原暴露とマスト細胞や好塩基球からのメディエーターの放出を伴い,ときに死に至る.国際専門家グループにより「急激に発症し,ときに死に至る重篤なアレルギー反応」と定義されている(Sampsonら,2006;Kimら,2011).予期不能かつ突然の発症と,ときに死に至る破滅的病態から患者を救済するためには,正しい診断と適切かつ迅速な治療が必要とされる.
 歴史的には,1902年にProtierとRichetがイヌにイソギンチャク毒素を注射していくと,初回は問題ないが,2~3週間後の注射ではイヌがショック症状を呈し,しばしば死亡することを見いだした.彼らはこの反応を「生体防御反応(phylaxis)とは逆(ana-)の反応」という意味でアナフィラキシー(anaphylaxis)と命名した.
原因物質による分類
1)食物:
一般的なアナフィラキシー惹起物質としては,ピーナッツ,木の実,甲殻類,魚類,牛乳,卵,そば,小麦,などがある.その他,隠れた食物抗原として,交叉反応を起こす食物(ラテックス・フルーツ症候群など),食物汚染物(穀物につくコナダニなど),食物添加剤(色素など),食物寄生物(寄生虫など),など多彩である.
2)薬物:
頻度の高い惹起物質である.βラクタム系をはじめとする各種抗菌薬,アスピリンなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs),局所麻酔薬などがある.最近では,過度に硫酸化されたコンドロイチン硫酸(OSCS)に汚染されたヘパリン,分子標的薬として用いられている単クローン抗体(オマリズマブなど),脱感作療法に用いられる抗原などにも注意が必要である.
3)毒物:
ハチや蚊などの昆虫由来の毒素・唾液,ヘビ毒,貝毒など.
4)物理的刺激:
運動,寒冷刺激,熱,放射線,エタノールなど.
5)その他(血清,高分子化合物,など):
職業性抗原としては,天然ゴムであるラテックス,ハムスター・マウスなど実験動物由来の吸入性抗原など.その他,抗血清,血液製剤,ヨウ素系造影剤,デキストランなどの多糖類などがある.
 上記の主要な原因によるアナフィラキシーの詳細については別項参照のこと.【⇨10-28〜10-33】
発症機序・病態
1)IgE抗体/高親和性IgE受容体(FcεRI)を介する機序:
最も頻度が高く一般的なタイプである.食物・薬物・毒物・ラテックスなどの高分子化合物などで惹起されることが多い.IgE抗体がマスト細胞や好塩基球表面の高親和性IgE受容体(FcεRI)を架橋し受容体が凝集すると,これらの細胞が活性化される.まず,分泌顆粒に蓄えられているヒスタミン,トリプターゼ,カルボキシペプチダーゼA,プロテオグリカン,ホスホリパーゼAなどが放出される.その後,新たに合成されるロイコトリエン,プロスタグランジン,血小板活性化因子(platelet activating factor:PAF)などが分泌される.さらに,各種サイトカイン・ケモカインなどが放出され,毛細血管の拡張や透過性亢進,気道平滑筋収縮,気道分泌亢進,粘膜浮腫,炎症などがもたらされる.
2)その他の免疫現象を介する機序:
IgG抗体・抗原複合物,補体系活性化,線溶凝固系活性化,などが関与するメカニズムが知られている.流血中に免疫複合物が形成されると補体系が活性化される.この経過で,C3,C4,C5はそれぞれ2つの断片に切断され,大きな断片(C3b,C4b,C5b)は補体活性化にかかわるが,小さな断片(C3a,C4a,C5a)も生理活性をもち,アナフィラキシーを惹起することがある.このため,C3a,C4a,C5aはアナフィラトキシンとよばれている.これらの物質はマスト細胞・好塩基球の脱顆粒を惹起するが,直接的な平滑筋収縮,血管透過性亢進作用も有する.
3)物理的機序:
運動,寒冷刺激,温熱,日光などにより直接的に惹起されるアナフィラキシーも知られている.これらの刺激が直接的にマスト細胞・好塩基球の活性化を惹起すると考えられる.運動誘発では,食後に運動してアナフィラキシーを起こす食物依存性運動誘発アナフィラキシー(food dependent exercise induced anaphylaxis:FDEIAn)とよばれる.食物アレルギーにより発作準備状態となり,運動刺激がアナフィラキシー発現を誘発すると考えられているが,詳細な機序は不明である.また,原因がまったく不明な特発性アナフィラキシーも存在する.
疫学
 疾患の定義が一定しておらず正しい診断がなされていないこと,報告も不十分なことなどもあり,正確な発生頻度は不明である.しかし,アナフィラキシーは決してまれなものではなく,最近増加傾向にある.米国での統計では,対10万人で1980年代には21人/年であったものが,1990年代には49.8人/年に増加している.0歳~19歳では70人/年で最も多い.また,15歳以下では男児に多く,15歳以上では女子に多いとの報告もある.小児・思春期・若年成人では食物を原因とするものが多く,中高年では,特発性に加え,薬物やハチなどの刺咬昆虫毒が重要である.わが国では,加水分解小麦成分を含む石鹸の使用により,小麦食物アレルギーによるアナフィラキシーが生ずる事例が発生し,大きな社会問題に発展している.
臨床症状
 アナフィラキシーは全身反応であるため,皮膚,消化管,呼吸器,心血管系などの症状と徴候がみられる.皮膚症状としてはじんま疹(膨疹),血管浮腫(腫脹),紅斑(発赤),瘙痒感(かゆみ)など,上気道症状としては鼻閉,鼻汁,嗄声,咽頭・喉頭浮腫など,下気道症状としては気道攣縮,喘鳴,胸部圧迫感などがある.循環系では低血圧,ふらつき,失神,頻脈など,消化器系では悪気,嘔吐,腹痛,下痢など,神経系では朦朧感,めまい,混乱などの症状・徴候がみられる.口腔では,かゆみ,唇・舌・口蓋のしびれや腫脹などがみられ,ときにこれらが前駆症状となる.その他,全身症状として冷汗,悪寒,不安感などがある.「死の恐怖」を伴うことも特徴の1つとされている.
診断(表10-27-1)
 突然の発症,急激な進行,ときに死に至ることなどから,迅速な診断が重要である.表10-27-1に診断基準を示す(Sampsonら,2006;Kimら,2011).誘発要因の有無にかかわらず,全身性じんま疹,かゆみ,発赤,唇・舌・口蓋垂などの腫脹などの皮膚・粘膜症状に加え,急激な呼吸困難・喘鳴/気道攣縮,血圧低下あるいは全身虚脱症状(低血圧/虚脱,意識消失,失禁など)がある場合はアナフィラキシーを考え,即座に治療を開始する.家族(軽度の場合は本人)などからアナフィラキシーの既往を聴き取ることも重要である.
検査成績
 皮内反応,抗原特異的IgE測定,ヒスタミン遊離試験などで,一部のアナフィラキシー原因物質の特定が可能である.しかし,大部分の原因物質については検査不能である.皮内反応は,ときにアナフィラキシーを誘発することがあるため,十分な注意が必要である.また血清で,マスト細胞・好塩基球由来のヒスタミンやトリプターゼなどを測定し,アナフィラキシーを診断しようとする試みもある.
鑑別診断
 鑑別診断としては,低血圧・顔面蒼白・徐脈・悪気・嘔吐症状などを呈する血管迷走神経性あるいは神経心原性の血管系抑制反射,重症喘息発作・異物誤嚥・肺塞栓症・声帯機能異常(vocal cord dysfunction)・過換気症候群などによる急性呼吸抑制,急性心不全,低血糖,急性薬物中毒,てんかん発作などがある.
経過・予後
 適切な治療がなされれば,通常は10~15分程度で改善が認められ,数時間で回復する.注意が必要なのは,急性症状が改善した後,再度症状が悪化する場合がある点である.アナフィラキシーによる死亡は発症数分間~1時間以内のことが多く,呼吸障害や循環障害による.わが国では年間50~70例の死亡が報告されている.
治療
 アナフィラキシーは急激に発症し,数分以内に死亡するため,即座の診断と治療が必要である.アドレナリン注射が第一選択であり,この病態が疑われる症例には即時に行うべきである.0.1%アドレナリン0.2~0.5 mLを皮下注あるいは筋注する(循環虚脱時には皮膚からの吸収が低下するので,筋注(大腿・上腕)がよい).経過をみながら10~15分ごとに同量を反復する.並行して,救急のABCに従い気道確保・酸素投与・補助換気などによる呼吸確保,末梢静脈確保・補液・昇圧薬投与などによる循環確保を行う.抗ヒスタミン薬も有効なことがある.即効型の副腎皮質ステロイド薬の静脈注射・点滴静注を追加する場合もある.
 アナフィラキシーの既往があり,原因物質が特定されている患者には,アドレナリン自己注射(エピペン)が平成23年から保険適応となった.小児用0.15 mgと成人用0.3 mgの2用量があり,大腿前外側から自分で筋注する.事前に患者に十分使用法を指導しておく必要があり,あらかじめエピペンの使用に関する講習を受けた医師でなければ処方することができない.  チャレンジテストによる原因の特定や減感作療法はアナフィラキシー誘発の危険があるため,アレルギー専門医に依頼するのがよい.[棟方 充]
■文献
Kim H, Fischer D: Anaphylaxis. Ann Asthma Clin Immunol, 7(suppl 1): S6, 2011.
Sampson HA, et al: Second symposium on the definition and management of anaphylaxis: summary report-Second National Institute of Allergy and Infectious Disease/Food Allergy and Anaphylaxis Network Symposium. J Allergy Clin Immunol, 117: 391-397, 2006.

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六訂版 家庭医学大全科の解説

どんな病気か

 アナフィラキシーは即時型アレルギーの症状が複数の臓器にみられる病態で、急激に全身の血管の拡張を来すとショックになり、時には死に至ることもあります。

原因は何か

 アナフィラキシーの原因抗原は食物、昆虫の毒、薬剤など多岐にわたりますが、患者本人が認識しないほどの極微量の抗原の侵入によって重篤(じゅうとく)なアナフィラキシー症状が引き起こされることも少なくありません。

症状の現れ方

 症状は、口内異常感、咽頭部狭窄感(いんとうぶきょうさくかん)悪心(おしん)に続き、全身のじんま疹、腹痛などを生じます。血圧が低下して意識消失を起こす状態をアナフィラキシーショックといいます。

検査と診断

 食物が原因となる場合では、患者は通常複数の食材を摂取しているため、原因食品をすぐには同定できません。また、食物依存性運動誘発アナフィラキシーという特殊な病型では、原因食品を摂取したのみでは症状がみられず、運動などの二次的要因が加わって初めて発症するため、原因食品の同定がさらに難しくなります。

 原因抗原の同定には、まず詳しく問診をして原因の見当をつけます。それに基づいて皮膚テスト、血液検査にて抗原と反応する免疫グロブリンE(IgE)ができていることを確認します。現状ではこれらの検査の精度は必ずしも高くない場合もあり、問診と併せて診断します。

治療の方法

 ショック状態では、エピネフリンの筋肉内注射とともに血管確保、気道確保を行ないます。症状の遷延予防(せんえんよぼう)にステロイド静脈内投与が併用されます。

 アナフィラキシーの予防には、根本的な治療法が確立されていないため、原因をつきとめて避けることが必要となります。

病気に気づいたらどうする

 エピネフリンの自己注射キットを持っている方は、大腿部に使用します。その後、医療機関を受診することが必要です。

森田 栄伸

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世界大百科事典内のアナフィラキシーの言及

【アレルギー】より

…1902年,フランスのリシェCharles R.Richet(1850‐1935)とポルティエPaul Portier(1866‐1962)は,イソギンチャクの毒素の研究をしているうちに,初めに少量の毒素をイヌに注射しても死なないが,その結果イヌは毒素に対して非常に過敏になり,その後はごくわずかな量の毒素を注射しても,呼吸困難,下痢,下血などの激しい症状を起こして死亡することを見いだした。そして,これをアナフィラキシーanaphylaxis(anaは反対,無,phylaxisは防御,保護の意で,無防御の状態を指すラテン語)と呼んだ。その後,多くの学者により,その動物にとって異種タンパク質であれば同様の現象が現れることが確かめられた。…

【アレルギー】より

…1902年,フランスのリシェCharles R.Richet(1850‐1935)とポルティエPaul Portier(1866‐1962)は,イソギンチャクの毒素の研究をしているうちに,初めに少量の毒素をイヌに注射しても死なないが,その結果イヌは毒素に対して非常に過敏になり,その後はごくわずかな量の毒素を注射しても,呼吸困難,下痢,下血などの激しい症状を起こして死亡することを見いだした。そして,これをアナフィラキシーanaphylaxis(anaは反対,無,phylaxisは防御,保護の意で,無防御の状態を指すラテン語)と呼んだ。その後,多くの学者により,その動物にとって異種タンパク質であれば同様の現象が現れることが確かめられた。…

【ペニシリンショック】より

… アレルギー反応には,一般にI型からIV型までの4種の型の反応がある。ペニシリンショックはI型(アナフィラキシー型)反応にもとづくもので,組織,臓器の組織肥満細胞の膜面に結合しているペニシリンに対するIgE型抗体の2分子以上を,抗原であるペニシリン製剤あるいはペニシリンの代謝物が橋渡しするのが反応のはじめのステップである。その結果,ヒスタミン,SRS‐A(slow reacting substance of anaphylaxis)など生物活性の強い化学物質が細胞外に遊離される。…

【免疫】より

…これを血清病という。もし同じ血清を2度注射すると激しいショック症状(アナフィラキシーショック)を起こして,しばしば死に至る。気管支喘息(ぜんそく)や花粉症なども,吸入によって侵入する抗原に対するアレルギー性反応である。…

【リシェ】より

…さらに88年には,細菌を注射された動物は,それに対する免疫ができることを認め,90年,はじめてヒトに対して免疫療法を行った。また1902年,イヌを用いた免疫毒素の実験中に過敏現象が起こることを発見し,これにアナフィラキシーと名づけた。以後,過敏症に関する研究を続けたが,これらの研究によって13年,ノーベル生理学・医学賞を授けられた。…

※「アナフィラキシー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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