アミロイドーシス(英語表記)amyloidosis

  • (肝臓・胆嚢・膵臓の病気)
  • アミロイドーシス Amyloidosis
  • アミロイドーシス(蛋白質・アミノ酸代謝異常)

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

アミロイドと呼ばれる、水に溶けない異常たんぱく質がさまざまな臓器神経に沈着し、機能障害を起こす。日本では36種類の病型が確認されている。そのうちのひとつ「家族性アミロイドポリニューロパシー」(FAP)は世界的な患者の集積地が県内にあり、熊本大学は長年診療・研究を続けてきた。難病指定されているFAPは2分の1の確率で遺伝し、発症すると手足の感覚が鈍り、寝たきりになって10年あまりで死亡する。根治療法はないが、肝臓移植などで進行を抑えることができるため、早期発見、早期治療が極めて重要になる。診療体制構築事業でFAPと診断されたのは86件。うち県内は25件で発症から平均2・5年を経ていたが、県外は4・6年。全国的な啓発の必要性も浮き彫りになっている。

(2015-06-03 朝日新聞 朝刊 熊本全県・2地方)

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家庭医学館の解説

[どんな病気か]
 アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれる特殊な線維状のたんぱく質が、細胞や組織の間に沈着するために、さまざまな障害をおこす病気の総称です。
 1年間に、この病気で受診する人は、全国で1500人程度と推定されており、まれな病気です。
 大きく2つのタイプに分けられます。
●アミロイドが全身に沈着するタイプ
①免疫細胞性(めんえきさいぼうせい)アミロイドーシス
 免疫細胞の一種である形質細胞(けいしつさいぼう)は、免疫グロブリンというたんぱく質をつくっています。この形質細胞が過剰に増殖したり、がん化した場合(多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ))、大量の免疫グロブリンがつくられ、免疫グロブリンの一部分がアミロイドとなって沈着していきます。
②反応性(はんのうせい)アミロイドーシス
 関節(かんせつ)リウマチ(「関節リウマチ」)、全身性エリテマトーデス(「全身性エリテマトーデス(SLE/紅斑性狼瘡)」)などの膠原病(こうげんびょう)、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)(がん)、結核(けっかく)などの炎症や感染症が治療困難な場合、血清(けっせい)アミロイドAたんぱくというたんぱく質が著しく増加しますが、その状態が長期間続くと、血清アミロイドAたんぱくの一部分がアミロイドとなって沈着していきます。
③家族性アミロイドーシス
 遺伝子の異常によって、正常とは異なったたんぱく質が合成され、アミロイドの原因物質になることがあります。もっとも多いのは、トランスサイレチンというたんぱく質の合成異常による異型(いけい)トランスサイレチンです。このタイプのアミロイドは、とくに手足の神経に沈着しやすく、30歳前後で発病し、全身に広がっていきます。
④透析(とうせき)アミロイドーシス
 5年以上、血液透析を受けている慢性腎不全(まんせいじんふぜん)の患者さんにみられます。β2ミクログロブリンというたんぱく質が、血液中に著しく増加し、透析ではあまり除去できないためおこります。
●アミロイドが限られた臓器、組織に沈着するタイプ
①脳(のう)アミロイドーシス
 老人性認知症をひきおこすアルツハイマー病(「アルツハイマー病」)では、脳へのアミロイド沈着が原因とされています。
②内分泌腺(ないぶんぴつせん)アミロイドーシス
 内分泌系の病気(甲状腺髄様(こうじょうせんずいよう)がん、Ⅱ型糖尿病(とうにょうびょう)、インスリノーマなど)では、その病変のある臓器に高頻度にアミロイドが沈着するものがあります。
[症状]
 最近、アミロイドの構造、その原因物質がつぎつぎと明らかにされてきました。
 しかし、原因物質が何であれ、症状はアミロイドが沈着する臓器、組織によって決まります。
 腎臓(じんぞう)への沈着がもっとも多く、最初は、たんぱく尿のみですが、進行するとネフローゼ症候群(「ネフローゼ症候群」)、腎不全(じんふぜん)(「腎不全」)となります。また、心臓にも高頻度に沈着し、心肥大(しんひだい)(「心肥大」)、不整脈(ふせいみゃく)(「不整脈」)をおこし、心不全(しんふぜん)(「心不全とは」)へと進行します。消化管への沈着も高頻度にみられ、がんこな下痢(げり)が続きます。
 手足の神経に沈着すると、知覚障害や筋力低下などをおこし、自律神経障害(起立性低血圧(きりつせいていけつあつ)、インポテンス、発汗低下など)も現われます。
 その他、気管支、肺、肝臓、脾臓(ひぞう)、皮膚、血管壁、関節などにも沈着し、さまざまな症状を現わします。
[検査と診断]
 診断には、アミロイドの沈着した組織を採取して調べる生検(せいけん)が必要です。最近では、家族性アミロイドーシスの原因物質の1つである異型トランスサイレチンの血中濃度を測ることが可能となりました。
[治療]
 アミロイドーシスのタイプにより治療法は異なりますが、現在、決定的な治療法はありません。
 免疫細胞性アミロイドーシスには、免疫抑制薬とステロイド(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)剤を併用して使います。
 反応性アミロイドーシスには、原因となっている病気の治療を行ないます。
 家族性アミロイドーシスには、異型トランスサイレチンが肝臓で合成されるため、最近、肝移植(かんいしょく)が有効であるとの報告があります。
 透析アミロイドーシスには、β2ミクログロブリンだけを吸着する透析膜(とうせきまく)の開発が進められ、一部は実用化しています。

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大辞林 第三版の解説

代謝障害のため、正常ではみられない糖タンパク質体のアミロイド(類デンプン体)が全身の種々の器官に沈着する疾患。原因不明の原発性のものと、慢性化膿性疾患・糖尿病・リウマチ様関節炎などに続発する二次性のものとがある。心不全・腎不全などになり、予後不良。アミロイド症。

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知恵蔵miniの解説

アミロイドと呼ばれるナイロンのような線維状の異常蛋白蓄積により起こる代謝性疾患。心臓・腎臓・消化器官末梢神経などに蓄積し、各器官に機能障害をもたらす。発症者は日本で1000~2000人に1人とされ、複数の臓器で発症する「全身性アミロイドーシス」と、ある臓器に限定して起こる「限局性アミロイドーシス」の二つに大別される。全身性アミロイドーシスの一部疾病は国指定の難病となっている。初期症状は発熱・下痢・患部の腫れなどよくみられるものであるため、発見が遅れることが多い。治療には抗がん剤抗リウマチ剤投与や自己末梢血幹細胞移植などが用いられ、早期発見の場合5~6割が寛解(症状が治まった状態)する。アミロイドの蓄積が進行し各器官に深刻な障害を起こすと死亡することもある。

(2015-7-27)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アミロイド症のことで、類デンプン症などともよばれる。アミロイドは線維状を呈する複合タンパク質で、このアミロイドが全身または局所に沈着してくる疾患をいう。遺伝性家族性に現れてくる原発性アミロイド症と、慢性感染症や骨髄腫(しゅ)に伴って現れる続発性アミロイド症に分けられる。原発性アミロイド症は比較的まれな疾患であるが、特定疾患(難病)の一つとして国(厚生労働省)から指定されている。
 アミロイドーシスは、アミロイドが沈着してくる臓器がとくに心臓、腎臓(じんぞう)、神経などに偏っているため、それぞれ心障害型アミロイドーシス(心アミロイドーシス)、腎障害型アミロイドーシス(アミロイド腎症)、アミロイド神経炎などとよばれる。男女ともに、発病は20~40歳代に多く、慢性進行性に経過する。家族性遺伝性に現れるが、なかでもアミロイド神経炎は数代にわたって発生する大家系が熊本県や長野県などでみいだされた。しかし、孤発例もみられる。
 アミロイド神経炎は、アミロイドが末梢神経と自律神経に著明に沈着し、特有な症状を示す。主症状は全身の感覚および運動障害と自律神経の障害で、上肢または下肢の末端から始まる温度覚や痛覚の鈍麻、ついで振動覚や位置覚も冒されるが、温度覚や痛覚の消失が高度で、分離性の知覚障害がみられる。すなわち、すべての感覚が障害されず、そのうちの一部が冒され、ほかのものは正常に保たれているような知覚障害である。これに続いて、四肢末端から筋力低下や筋萎縮(いしゅく)が始まり、全身に及ぶ。自律神経障害は特有で、陰萎(いんい)、下痢と便秘の交代や腹痛などの胃腸症状、立ち上がると血圧がほとんどゼロになる著明な起立性低血圧、立ちくらみや失神発作、発汗異常や難治性皮膚潰瘍(かいよう)などの皮膚障害、尿失禁などの膀胱(ぼうこう)障害を示してくる。瞳孔(どうこう)の不正形や硝子体の混濁もみられる。
 心障害や腎障害は遅れて出現し、しだいに心不全、尿路感染、尿毒症などを合併して重症となる。心アミロイドーシスはやや高齢に多く、浮腫(むくみ)、息切れ、胸痛など心不全がみられ、ジギタリス剤に反応せず、巨大舌などを伴う。アミロイド腎症はネフローゼ症状と発熱や関節痛などを主とするもので、尿毒症に進展する。
 診断は、末梢神経、筋、直腸などの生検によってアミロイドを証明することで決められる。治療は、対症療法が中心となるが、病型によっては肝臓移植や化学療法が行われ、また、新しい薬剤の開発が進んでおり、期待されている。[里吉営二郎]

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内科学 第10版の解説

定義・概念
 アミロイドーシスは線維構造をもつ不溶性蛋白であるアミロイドが臓器に沈着することによって機能障害を引き起こす疾患の総称(疾患群)である.分類 アミロイドーシスは全身諸臓器にアミロイドが沈着する全身性アミロイドーシスと,ある臓器に限局した沈着を示す限局性アミロイドーシスに大別され,さらに種々のアミロイド蛋白(前駆蛋白)に対応する臨床病型に分類される(表13-3-3).主要病型には,全身性アミロイドーシスとして原発性ALアミロイドーシスあるいは骨髄腫合併ALアミロイドーシス,続発性AAアミロイドーシス(反応性AAアミロイドーシス),家族性アミロイドーシス(家族性アミロイドポリニューロパチーFAP)),透析アミロイドーシス,老人性全身性アミロイドーシスが,限局性アミロイドーシスとして,脳アミロイドーシス(Alzheimer病ほか)などがある.以下に全身性アミロイドーシスの主要病型について述べる.
病因・病態・症候・検査成績
1)原発性ALアミロイドーシスあるいは骨髄腫合併ALアミロイドーシス
: 異常形質細胞より単クローン性に産生される免疫グロブリン(M蛋白)の軽鎖(L鎖)に由来するアミロイド蛋白が全身諸臓器に沈着する.多発性骨髄腫や原発性マクログロブリン血症を伴わない場合,原発性とよばれる.心臓,腎臓,末梢神経系,消化管,肝臓などにアミロイドが沈着し,腎障害(ネフローゼ症候群/腎不全),心障害(心不全/不整脈),手根管症候群,多発ニューロパチー,自律神経障害,消化管症状や肝障害などを呈する.血清M蛋白,尿中Bence Jones蛋白,血清遊離軽鎖(FLC)を認める.
2)続発性AAアミロイドーシス(反応性AAアミロイドーシス)
関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)などの自己免疫疾患,結核などの慢性炎症性疾患を基盤に,炎症性蛋白として肝臓から産生される血清アミロイドA(SAA)がAAアミロイドとして沈着する.消化管や腎臓などに沈着し,難治性下痢,蛋白尿や腎不全などの症状がみられる.CRPやSAAなどの炎症反応マーカーが持続的に高値を示す.
3)家族性アミロイドーシス:
FAPに代表される.FAPのアミロイド蛋白の由来にはトランスサイレチン(TTR),アポリポ蛋白AI,ゲルゾリンなどがあるが,わが国のFAPのほとんどはTTR型であり,TTR遺伝子変異に伴う(30番目のバリン→メチオニン置換が多い).TTRは肝臓から産生され,TTR由来アミロイド(ATTR)が末梢神経系や心臓などに沈着する.典型例は常染色体優性遺伝で30~40歳代で発症し,末梢神経症状(表在覚優位の感覚障害,筋力低下),自律神経症状(交代性の下痢・便秘,悪心・嘔吐,インポテンツ,起立性低血圧,膀胱障害),心障害(心伝導障害など)を示す.世界的には日本,ポルトガル,スウェーデンなどに,国内では長野県,熊本県,ついで石川県に患者の集積がみられるが,高齢発症の孤発例が全国に散在している.
4)透析アミロイドーシス:
透析歴10年以上の長期透析患者にみられる合併症であり,血中で上昇しているβ2-ミクログロブリン由来のアミロイドが骨関節領域,靱帯などに沈着する.手根管症候群,多関節痛,ばね指,破壊性脊椎関節症,骨囊胞などの症状・所見がみられる.
5)老人性全身性アミロイドーシス:
野生型(正常型) TTR由来のアミロイドがおもに心臓に沈着する.80歳以上の剖検例の25~28%にみられる.臨床的には60歳代の後半から心症状(心房細動,心不全),手根管症候群としてみられる.
診断・鑑別診断
 全身性アミロイドーシス診断のためのフローチャートを図13-3-9に示す.全身性アミロイドーシスを疑うポイントは多臓器の障害がみられることである.初発症状は全身倦怠感,体重減少などの非特異的な症状や,最もアミロイド沈着が先行している臓器の症状(たとえば心臓であれば心不全症状,腎臓であればネフローゼ症状,末梢神経であれば手足のしびれなど)であることが多いが,臨床検査を併用し,多臓器障害の所見,ALアミロイドーシスではM蛋白,AAアミロイドーシスではSAAなどのマーカーを検索する.
 確定診断は生検による.アミロイドは病理学的にCongo-red染色で橙赤色に染まり,偏光顕微鏡下で緑色の偏光を呈する物質として同定される.アミロイドが確認されれば,病型診断のために,各種アミロイド蛋白(表13-3-3)に対する特異抗体を用いた免疫組織化学でアミロイド蛋白の種類を同定する. 遺伝性アミロイドーシスの場合,責任遺伝子の変異や変異蛋白の検出が可能である.わが国でみられる遺伝性全身性アミロイドーシスのほとんどはTTR型であり,TTR遺伝子変異や血清中の変異型TTRが検出される.老人性全身性アミロイドーシスでは野生型TTR由来アミロイドが沈着しており,アミロイドは免疫組織化学的にTTR陽性であるが,TTR変異を認めない.経過・予後 ALアミロイドーシスの予後は不良で,診断後の50%生存は約13カ月,心不全で発症した例では約5カ月であり,心不全,腎不全などで死亡する.AAアミロイドーシスの診断後の5年生存率は約50%であり,死因は消化管障害,腎不全である.FAPでは発症からの平均余命は約10年である.近年,有効な治療法の出現に伴い,これらの予後は改善している.治療 アミロイドーシスに対する治療は,①アミロイドの沈着過程そのものに対する治療(抗アミロイド療法あるいは根本療法)と,②アミロイド沈着の結果生じた臓器障害あるいはそれに起因する症状に対する治療(支持療法あるいは対症療法)があり,両者を組み合わせて治療を行う.以下に①について述べる.
 ALアミロイドーシスの治療の目標はM蛋白の産生を抑制することにある.自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法(大量メルファラン+自家末梢血幹細胞移植)やほかの化学療法(メルファラン+デキサメタゾンなど)が行われる.
 AAアミロイドーシスの治療は基礎疾患の炎症を抑制しSAAを正常化することが目標である.基礎疾患で多いRAの場合,疾患修飾抗リウマチ薬(DMARDs),免疫抑制薬,副腎皮質ステロイドなどを用い免疫抑制療法を行うが,近年開発された生物学的製剤,特に抗IL-6レセプター抗体療法は強力なSAA抑制効果を有する.
 FAPではTTRの90%以上が肝臓で産生されるため,肝移植が治療の第1選択で,肝移植例の10年生存率は71%である.患者あるいはドナーの問題のため,肝移植が不可能な場合もある.TTRは血中で四量体として存在し,それが解離して単量体となり立体構造を変化させ重合してアミロイド線維を形成する.そのため,TTR四量体の安定化作用を有する薬剤(ジフルニサル,タファミディス)の臨床開発が進行している.老人性全身性アミロイドーシスにおける野生型TTR沈着についても同様の薬剤の有効性が示唆される. 透析アミロイドーシスでは,慢性炎症や酸化ストレスなどの発症リスクを回避し予防するために,生体適合性のよい透析膜の選択,高純度の透析液の使用が推奨され,また,β2-ミクログロブリンを高効率に除去できる透析方法の有用性が示唆されている.[山田正仁]
■文献
山田正仁,他:アミロイドーシス診療ガイドライン2010,厚生労働科学研究事業 難治性疾患克服研究事業・アミロイドーシスに関する調査研究班,2010. http://amyloid.umin.jp/~amyloid/cgi-bin/contz/pages/guideline.html
山田正仁編著:アミロイドーシス診療のすべて.ガイドライン完全解説.医歯薬出版,東京,2011.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

六訂版 家庭医学大全科の解説

アミロイドーシスの分類

 アミロイドと呼ばれる線維状の異常蛋白が体のなかに沈着して、個々の臓器の機能障害を起こす病気の総称です。全身性と非全身性、遺伝性と非遺伝性、あるいは原発性と続発性に大別されます。

 続発性アミロイドーシスは50代後半~60代に発症年齢のピークがあり、関節リウマチ、骨髄腫(こつずいしゅ)、長期間の人工透析(とうせき)を受けている人に発生しやすい傾向があります。

 遺伝性アミロイドーシスは、とくに熊本県と長野県に患者さんが多くみられる地域があります。遺伝形式は常染色体優性(じょうせんしょくたいゆうせい)で、親から子どもに50%の確率で病気が伝わり、20代後半から40代前半に発症します。

アミロイド前駆(ぜんく)蛋白

 全身性アミロイドーシスの原因は単一ではありませんが、いずれの場合も血液中にアミロイドの基となる前駆蛋白が存在します。

 遺伝性全身性アミロイドーシスでは変異トランスサイレチンが、また骨髄腫に伴うアミロイドーシスや長期透析患者でみられるアミロイドーシスでは、それぞれ免疫グロブリンの短鎖とβ2ミクログロブリンがアミロイド前駆蛋白です。しかし、これらが組織にアミロイドとして沈着する機序(仕組み)の詳細は不明です。

症状と治療

 アミロイドーシスは特徴的な症状に乏しいため、診断が困難です。沈着が著しい臓器の障害症状が出ることになります。

 遺伝性全身性アミロイドーシスは、手足のしびれ、麻痺といった多発神経炎症状、高度な立ちくらみ、食欲不振、排尿障害などの自律神経症状が現れます。とくに、数日の周期で激しい便秘と下痢が繰り返し起こることが特徴的です。進行すると舌、甲状腺、肝臓などが硬くはれ、また心臓ならびに腎臓の機能が低下します。最終的には全身衰弱を来します。

 予後は極めて悪く、多くの患者さんは発病後数年で死亡します。体内へ沈着したアミロイドを取り去る根本的な治療法はなく、多くの場合は対症療法に終始します。

 原発性全身性(AL型)アミロイドーシスには、大量の化学療法が試みられています。

 また、最近は遺伝性アミロイドーシスに対して肝移植(日本では生体部分肝移植)が行われています。異常な蛋白を産生する患者さんの肝臓を、健康な人の肝臓に取り替えるというものです。この治療法により、アミロイドは患者さんの体内で産生されなくなります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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