ユリ科(APG分類:ヒガンバナ科)ネギ属の総称。北半球に約450種あるといわれる大きな属で食用のネギ、タマネギ、ニンニク、ラッキョウなども含まれる。普通は秋植えの球根草で、花にネギ臭のないものを観賞用とし、約40種ほどが栽培される。原産地はヨーロッパ、アジア、北アフリカ、北アメリカであるが、北アメリカのものは栽培されず品種改良も顕性選抜程度しか進んでいない。ねぎ坊主の美しさを観賞するために栽培され、茎が強く花持ちのよい品種は切り花に、茎の短いものは鉢物または花壇用にされる。花は頂生の球状散形花。種子よりは球根の大球種になると開花までに数年を要するものもあり、また2年目に開花する小球性のものもある。球根は小指の先くらいのものから、球周り20センチメートルにも達する大球種まで大差がある。
よく栽培される観賞用品種として以下のものがある。ギガンチウムは草丈1~1.5メートル、青紫色の小花が3000個以上密集する大球種。6月咲きで、切り花、花壇向き。シュベルティは草丈30~40センチメートル、花球が径40センチメートルにも達する巨大花をつける大球種で、花色は暗藤桃色。花つきは粗く、5月下旬咲きで切り花向き。スファエロセファルムは草丈約1メートルで、赤紫色の小輪花をつける小球種。6月中旬咲きで切り花向き。カラタビエンセは灰緑色の中輪花をつける矮性(わいせい)種。5月中旬咲きで鉢植えおよび花壇用とする。オレオフィルムは桃紅色の小輪花をつける矮性種。5月下旬咲きで鉢植え用によい。
[川畑寅三郎 2019年1月21日]
日当り、排水のよい肥沃(ひよく)な土地を好み、大球種は15~30センチメートル間隔に、小球種は3センチメートルぐらいの間隔で深めに、10~11月に植える。普通の土なら1平方メートルに石灰を200グラムぐらい、植える前に鋤(す)き込むとよく、肥料は油かすを多めに施す。また球根は開花後に茎葉が枯れたら掘り上げ、網袋などに入れて、日陰につるして保管する。
[川畑寅三郎 2019年1月21日]
ユリ科ネギ属Alliumの園芸用に栽植される球根植物の総称。ネギ属には食用のネギ,タマネギ,ニンニク,ニラ,リーキなどや多くの野生種があり,約450種が知られている。観賞用には普通いわれているネギ坊主の美しいものを扱っているが,茎の空洞のものを除外しても約40種が使われている。大半が秋植えの球根植物で,草丈が1.5m以上にもなるものは切花用に,小球性のものが多い矮性種は鉢植えや花壇用に使われる。普通は数枚の葉が早春に地に接して展開し,5~6月に花茎を出し,球状の散形花序に多数の小さな花を咲かせる。主要な種としては,高性種のアリウム・ギガンテウムA.giganteum Regel(原産イラン,大球性巨花で濃藤色,小花およそ2000輪以上)をはじめ,アリウム・シューベルティイA.schubertii Zucc.(原産パレスティナ,巨大輪淡紫色,中型),アリウム・スファエロセファルムA.sphaerocephalum L.(俗称は丹頂,原産西ヨーロッパ,イラン,紅紫色,小球性矮性種),アリウム・オレオフィルムA.oreophilum Meyer(原産カフカス,桃紅色),アリウム・カラタビエンセA.karataviense Regel(原産トルコ,白に淡桃緑色,大球性)などがある。普通10~11月,排水良好な日当りのよい土地に球根の直径の2倍くらいの間隔に植え込み,覆土は深めにする。茎葉が枯れる6月に掘り上げて,日陰で乾燥,貯蔵する。
執筆者:川畑 寅三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…ユリ科の多年草(イラスト)。別名をネブカ,ヒトモジなどともいう。普通1~8本に分げつして族生する。鱗茎はつくらず,葉は短縮して茎に互生し,葉鞘(ようしよう)部と葉身部とからなっている。葉鞘部は鞘(さや)状で,相互に密に重なり合って茎状の構造(偽茎)となる。葉身部は長さ30~70cmに達し,表裏のない円筒状で先はとがり,生育するにつれて内部の組織が崩壊して中空となり,途中から折れ曲がる。蠟粉を帯び青緑色を呈する。…
※「アリウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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