ラテン語のaltus(高い)を語源とする音楽用語で,元来は,定旋律を担うテノールに対して〈高い〉声部contratenor altusの意で用いられた。これが省略されてコントラルトcontraltoとも呼ばれる。一般に,(1)4声作法において上から2番目の声部(ソプラノの下でテノールの上の声部),(2)女性の最も低い声種(図1)を指すことが多い。(3)器楽では,同族楽器中,人声のアルトに相当する位置を占める楽器(4度前後ソプラノ楽器より低い,またはテノール楽器より高いもの)をいう。たとえばアルト・クラリネット,アルト・フルートなど。フランスとイタリアでは,バイオリン属のビオラを指す。吹奏楽では,特に金管楽器のアルト・サクソフォーンを指す。(4)高音部譜表の上方にはみ出たオクターブの音域を指す(図2)。たとえば〈C in alto〉は3点ハである。
執筆者:津上 智実
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アルゼンチンの小説家、劇作家。移民の子として生まれる。様々な職についたあと、ジャーナリズムに入り、社会主義、写実主義作家たち、いわゆる「ボエド・グループ」と親交を結ぶ。1926年、都市に住む人間の倫理観、絶望感を描いた自伝的色彩の濃い小説『怒れる玩具(がんぐ)』を発表。その後も、ブエノス・アイレスを舞台に、都市と住民というテーマに風刺を交え、幻想的な雰囲気を漂わせさえする小説『七人の狂人』(1929)、『火焔(かえん)放射器』(1931)、短編集『傴僂(せむし)』(1933)などを出すが、やがて戯曲に専念し、空想世界に閉じこもる少女を描いた『三億』(1932)、妻を殺した劇作家が殺人のありさまを戯曲にする『幻想を作る男』(1936)などの戯曲を発表して演劇界に新風をもたらした。
[安藤哲行]
音楽用語。混声四部合唱における上から2番目の声部、女声合唱の場合には、もっとも低い声部のことをいう。また今日では、そういった声部に相応した音域を歌う女性のもっとも低い声種をもさす。語源はラテン語のaltus(高い)に由来するが、これは、中世の多声楽曲において、その基本となる声部(テノール)より高い声部をよぶのに用いられたためである。転じて、大小のある同族楽器のなかで、ソプラノとテノールの間にあるものをアルト(たとえばアルト・リコーダー)などとよぶ。さらに、五線譜表の第3線上にハ音記号を置いた音部記号をアルト記号という。第3線が1点ハ音となり、元来は合唱のアルト声部用であったが、今日ではビオラやアルト・トロンボーンなどの楽器のための楽譜にも用いられている。
[黒坂俊昭]
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