アレス(読み)あれす(その他表記)Arēs

デジタル大辞泉 「アレス」の意味・読み・例文・類語

アレス(Ares)

NASAコンステレーション計画で使用されるロケット。アレス1で有人探査機オリオンなどを、アレス5で探査機や物資などの貨物を打ち上げる。アレス1は2014年までに国際宇宙ステーションへの搭乗員輸送を、アレス5は2018年までに試験打ち上げを行い、いずれも2020年までに有人月面探査を開始する予定であった。2010年2月、開発の遅れや多大なコスト超過などの理由により、オバマ大統領は予算教書の中でコンステレーション計画の中止を表明した。

アレス(Arēs)

ギリシャ神話の軍神。ゼウスヘラの子。血なまぐさい殺害と戦いの神。ローマ神話マルスにあたる。

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精選版 日本国語大辞典 「アレス」の意味・読み・例文・類語

アレス

  1. ( Arēs ) ギリシア神話の軍神。オリンポス十二神の一つ。ゼウスとヘラの子。戦闘を好む。ローマ神話ではマルス。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アレス」の意味・わかりやすい解説

アレス
あれす
Arēs

ギリシア神話の軍神にして殺害の神。ゼウスとヘラの子で、野蛮で好戦的なトラキアが故郷とされている。ローマ神話ではマルスと同一視される。狂暴な性格を備え、無思慮で、戦いのための戦いを好む。彼はオリンポス十二神の一人であるが、固有の神話や伝説は比較的少ない。ホメロス以来のギリシア人は、アレスの暴力の勝利よりも、知性に立ち向かって敗北した話を好んだようである。

 アレスはトロヤ戦争において、トロヤ軍の総大将ヘクトルの側についてギリシア方を攻撃したが、アテネ女神の巧みな行動に助けられた英雄ディオメデスによって傷つけられ、大声を発してオリンポスに逃げ帰った。アレスの子キクノスがヘラクレスと戦ったときも、助けに駆けつけた父親アレスはアテネに妨げられ、負傷してオリンポスへ敗退した。女人族アマゾンの女王ペンテシレイアの恨みを晴らすため、アレスがアキレウスを討とうとしたときは、ゼウスによって止められている。また、アロアダイ(オトスとエフィアルテス)によって青銅の壺(つぼ)に閉じ込められ、13か月後にようやくヘルメスに救い出されたというように、敵(かたき)役扱いされた伝説が非常に多い。その一方で、女神のアフロディテと恋に落ちるという華やかな話もなくはないが、密会中の2人が女神の夫ヘファイストスの網にかかって笑いものにされるなど、その無思慮な性格が災いしてか脇役(わきやく)的存在に終始した。アレスの子たちも彼の乱暴で残忍な性質を受け継ぎ、オイノマオスは父に与えられた武器で娘の求婚者たちを次々と殺害した。息子らのうちキクノス、トラキア王のディオメデス、リカオンは、ヘラクレスに成敗されている。

 なお、アレスに捧(ささ)げられた動物は、呪法(じゅほう)の特徴である犬と禿鷹(はげたか)であった。

[小川正広]

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改訂新版 世界大百科事典 「アレス」の意味・わかりやすい解説

アレス
Arēs

ギリシア神話の戦い,とくに残忍で血なまぐさい戦闘の神。ゼウスとヘラの子で,いわゆるオリュンポスの十二神に数えられるが,トロイア戦争の際にはギリシア勢に敵対した。また女武者から成るアマゾン族の祖とされる。ホメロスの《オデュッセイア》には,女神アフロディテとの密通の現場を捕らえられる有名な神話があるが,一説では彼はアフロディテの夫で,彼女とのあいだにテーバイの建設者カドモスの妻となったハルモニアHarmoniaをもうけた。アテナイの最高法廷アレオパゴス(アレイオス・パゴス,〈アレスの丘〉の意)の名は,かつて彼がここで裁きを受けたことに由来するという。ローマ人は彼らの軍神マルスをアレスと同一視した。
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百科事典マイペディア 「アレス」の意味・わかりやすい解説

アレス

ギリシア神話の軍神。ローマ神話のマルスに当たる。ゼウスとヘラの子。性格は戦争好きで残忍,傲慢(ごうまん)だが風采は立派。エロスはアレスとアフロディテの子といわれる。アテナイの最高法廷アレオパゴス会議(アレイオス・パゴス,〈アレスの丘〉の意)の名は,同神に由来する。
→関連項目アフロディテエリスオリンポス十二神ヘファイストス

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アレス」の意味・わかりやすい解説

アレス
Ares

ローマのマルスと同一視されたギリシア神話の戦神。ゼウスとヘラの息子。文明的な軍神であるアテナ女神に対し,戦闘の野性的側面に関与する凶暴な神で,ギリシア人に蛮人の住む土地とみなされていたトラキアを本拠地にすると信じられた。アフロディテ愛人となり,彼女の夫ヘファイストスの目を盗んで密通を重ねたとされ,愛神エロスは,アレスの種によるアフロディテの子であるともいわれた。

アレス
Alès

フランス南部,ガール県北部の都市。ニームの北西,マシフサントラル (中央山地) 南東部のセベンヌ山地山麓に位置する。かつては炭鉱の町で,現在は化学・金属・紡績工業,ワイン製造業などの中心地。フェニキア起源の古い都市で,有名な築城家ボーバンが設計した要塞 (1788。現博物館) もあるが,近年,市街地再開発によって近代的アパート群の建築が進んでいる。人口4万 2296 (1990) 。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「アレス」の解説

アレス
Ares

古代ギリシアの軍神。ゼウスとヘラの子でアフロディテの情夫。トロヤ人やアマゾン女族を助けている。アイトリア,テッサリアテーベアテネなどで崇拝され,スパルタでは犬が供犠(くぎ)された。

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旺文社世界史事典 三訂版 「アレス」の解説

アレス
Ares

ギリシア神話のオリンポス12神のひとり
ゼウスの子。戦争の神。アテネで法廷が開かれた丘をアレスの丘(アレオパゴス)という。ローマ神話ではマルス(Mars)。

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世界大百科事典(旧版)内のアレスの言及

【火星】より

…これら衛星の成因は,小惑星帯から落下したものを捕獲したと考えられている。【清水 幹夫】
[シンボリズム]
 火星はギリシア神話の軍神アレス(ローマ神話ではマルス)と同一視された。錬金術では鉄のシンボル。…

※「アレス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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