2-methylenesuccinic acid.C5H6O4(130.10).メサコン酸およびシトラコン酸の異性体.Aspergillus terreus,Asp.itaconicusなどの菌類成分の一つ.工業的には,サトウキビ培地で上記菌類を培養してつくる(イタコン酸発酵).実験室的には,アコニット酸を蒸留すると無水イタコン酸(融点68 ℃)と無水シトラコン酸(融点7 ℃)が得られ,前者を水と加熱するとイタコン酸になる.特異な臭いをもつ吸湿性の無色の結晶.融点162~164 ℃(分解).減圧下で昇華する.水100 g に対する溶解度は8.3 g(20 ℃).Ka1 1.4×10-4,Ka2 3.56×10-6(25 ℃).エタノールに可溶,ベンゼン,クロロホルム,エーテルなどに難溶.ポリエステル樹脂,可塑剤の合成原料として用いられる.イタコン酸ジエステルは,単独またはほかのビニル単量体と共重合させて,熱可塑性樹脂,イオン交換樹脂,合成繊維などに用いられる.密栓して保存する.[CAS 97-65-4]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
メチレンコハク酸ともいう。メサコン酸,シトラコン酸の異性体(図参照)。融点(分解)167~168℃,密度1.63,白色結晶。特異臭を有し吸湿性が大きく,減圧下に昇華する。水,アルコールには可溶,ベンゼン,クロロホルム,四塩化炭素,エーテル,石油エーテルなどには難溶。アコニット酸,またはクエン酸の分解で得られる無水イタコン酸を水で処理すると得られる。工業的には,Asperigillus terreusやA.itaconicusなどの菌類を硫安などの栄養素を含むサトウキビ培地で培養して製する。各種グリコールとの縮合によって生成するポリエステル樹脂は積層樹脂,塗料などに用いられる。イタコン酸ジエステルは単独,あるいは他のビニルモノマーと共重合して熱可塑性樹脂,イオン交換樹脂,合成繊維として用いられる。オクチルアルコールなどの高級アルコールとのエステルは可塑剤として利用される。
執筆者:井畑 敏一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
脂肪族ジカルボン酸の一つ。天然には菌類の代謝物として得られる。工業的にもイタコン酸発酵を利用して製造する。菌としてアスペルギルス属の一群Aspergillus terreusを用いると、グルコースから60%程度の収率でイタコン酸が得られる。
水にかなり溶けるほか、エタノール(エチルアルコール)にも溶ける。重合により水溶性の樹脂が得られるので親水性の合成樹脂をつくる原料になる。ジエステルは熱可塑性樹脂、合成繊維などの原料となる。
[廣田 穰]
イタコン酸
分子式 C5H6O4
分子量 130.1
融点 162℃(分解)
沸点 減圧下で昇華
溶解度 8.3g/100g(水20℃)
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…生理的に重要なのは,比較的不安定なシス‐アコニット酸で,クエン酸回路の酵素であるアコニターゼの作用により,クエン酸およびイソクエン酸から可逆的に生成する。梅酢の表面に発育する糸状菌Aspergillus itaconicusはイタコン酸発酵により,シス‐アコニット酸からイタコン酸を大量につくる。一方トランス型は安定で,トリカブト属Aconitumやトクサ,サトウキビ,テンサイなどの植物に含まれる。…
※「イタコン酸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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