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イタリア式庭園 イタリアしきていえんItalian garden

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

イタリア式庭園
イタリアしきていえん
Italian garden

15世紀のトスカナ地方では,中世を通じて建物に隣接する区画を壁や塀でかぎられていた庭が,広く風光に向かって開かれるようになった。この先鞭をつけたのはフィエゾーレにあるメディチ家ビラ(別荘)を代表とする,フィレンツェ近郊の丘陵に建てられたビラで,丘の斜面につくられた庭園は新しい要素として美しい眺望を加えるようになった。ルネサンスの建築を律した秩序への志向は庭園にも適用され,樹木は整然と刈り込まれ,ギリシア・ローマ神話の神々の彫像や噴水が規則正しく配置された。トスカナの田園地帯に点在するメディチ家ゆかりのビラや庭園は,邸宅,庭園,自然環境が一体化した最初の好例であるとして,2013年世界遺産の文化遺産に登録された。
様式の確立する 16世紀との境目に生まれた二つの庭はその後のイタリア式庭園の方向を強く打ち出した。一つはドナト・ブラマンテによるバチカン宮殿ベルベデーレの中庭で,奥行の深い空間の高低差を利用して 3段のテラスに切り分け,舞台装置のような効果を上げた。もう一つはラファエロ・サンツィオによるローマ郊外のビラ・マダマで,グロッタの使用やテラスによる構成などに 16世紀の庭園の構成要素がいち早く現れている。16世紀に入って,主軸線にそってテラスを重ねるイタリア式庭園の様式が確立した。チボリビラ・デステビテルボ東方のバニャイアのビラ・ランテが代表例で,いずれも斜面を利用したテラスを幾段にも重ね,一定のストーリーに従って噴水やカスケード,彫像,グロッタなどを配している。なお,ローマ北方のボマルツォの庭園内の怪物たちの森のように,庭園内部の森に力を注いで独特の構成を求めるものも存在した。
こうして 16世紀のイタリアに確立した庭園様式は,17世紀のフランス式庭園,18世紀イギリスの風景式庭園の開発ののちも,独立した様式としてドイツなどで好んでつくられた。17世紀のイタリアではバロック的な傾向(→バロック建築)が強まり,斜面を用いての構成に加え,透視図法の効果などを利用して,奥行きが押しつまり,見る者を圧倒するような構成のものも現れた。フラスカティのビラ・アルドブランディーニ,コロディのビラ・ガルゾーニなどがその例である。

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