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イノシトール イノシトールinositol; cyclohexane hexol

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

イノシトール
inositol; cyclohexane hexol

イノシット Inositともいう。ときにビタミンB複合体に含められる有機化合物で,化学的構造 ( C6H12O6 ) はブドウ糖によく似た環式六価アルコール。融点 225~227℃,光学不活性,水に可溶,アルコールにはやや可溶,エーテル不溶。甘味がある。9種類の立体異性体があって,そのうちの4種類が自然界に存在する。最も普通のものはミオイノシトール (メゾイノシット) で,遊離状態では,筋肉,心臓,肝臓,脳,卵黄,大豆,小麦胚などに見出される。動物臓器の細胞中ではリン脂質として,植物中ではフィチン (フィチン酸のマグネシウム塩) として存在することが多い。過コレステロール症,肝硬度症などに適用される。人体内にも大量に存在する必須栄養源で,おそらく体内で合成されている。

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栄養・生化学辞典の解説

イノシトール

 C6H12O6 (mw180.16).

 イノシット,ヘキサヒドロキシシクロヘキサンともいう.B群ビタミンの一つにされることもあるが,生体内で十分に合成され,欠乏症状はほとんどみられないのでコリン同様ビタミンに含めない.生体内では,イノシトールリン脂質として生体膜成分となり,ホルモンなどの刺激によりイノシトール3,4,5-もしくは1,4,5-トリスリン酸となって,信号伝達に関与する.9種の立体異性体があるが普通イノシトールというとmyo-イノシトールをいう.

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毛髪用語集の解説

イノシトール

ビタミン様物質で、リン脂質の構成物質。ビタミンB 群の仲間として分類されることもある。脂肪の流れを良くして身体の中に脂肪が溜まらないようにする働きがあることから、「抗脂肪肝ビタミン」とも呼ばれる。この成分が欠乏すると、肝機能の低下を招き、抜け毛の原因となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

イノシトール
いのしとーる
inositol

シクロヘキサン(C6H12)の水素6個がヒドロキシ基(-OH)6個と置換した構造をもつ化合物の総称。イノシットinosit、シクロヘキシトールcyclohexitol、筋肉糖meat sugar、ビオス biosともいう。組成式はC6H12O6、分子量は180.16。ヒドロキシ基の相対的配置によって、理論的に9種の立体異性体が存在するが、天然にはミオ-イノシトールmyo-inositol(参照)、D-イノシトール、L-イノシトール、ムコ-イノシトールmuco-inositol、シロ-イノシトールscyllo-inositolの5種がみいだされている。
 もっとも広く分布しているのはミオ-イノシトール(myo-は筋を意味する。筋肉から分離されたのでこの名がある)で、単にイノシトールまたはメソ-イノシトールmeso-inositol(mesoは中間を意味する。光学不活性なのでこの名がある)ともよばれる。天然に遊離状態または結合型として広く存在する。グリセロリン脂質(グリセロールを基本骨格とするリン脂質の総称。フォスフォリパーゼの項目参照)の一種であるフォスファチジルイノシトールはグリセロールと脂肪酸とリン酸とイノシトールからなる。微生物、動物、植物に広く分布している。サトウダイコン(ビート)の根に存在するガラクチノールはガラクトースとイノシトールからなる。穀類の種子に多量に存在するフィチンはフィチン酸(イノシトールの6個のヒドロキシ基にそれぞれリン酸がエステル結合したもの)のカルシウム、マグネシウムの混合塩である。
 ミオ-イノシトールは細胞内でグルコース6-リン酸から生合成される。動物および一部の微生物体内でのイノシトール合成能には限界があり、欠乏により発育不良、脱毛(ラット)、脂肪肝(ラット)などがみられる。そのため成長因子としてビタミンに分類されることもある。甘味があり、水に可溶、融点は225~227℃、光学不活性(『メルクインデックス 13版』The Merck Index, 13th Edition)。イノシトール1,4,5-トリスリン酸(IP3と略記。イノシトールのヒドロキシ基3個にリン酸がエステル結合したもの)は細胞内での情報伝達物質(セカンドメッセンジャー)として働いている。[徳久幸子]
『宇野功他編『情報伝達とイノシトールリン脂質』(『実験医学』臨時増刊号・1989・羊土社) ▽竹縄忠臣編『情報伝達研究の新しい展開』(1993・羊土社) ▽川嵜敏祐・井上圭三・日本生化学会編『糖と脂質の生物学』(2001・共立出版)』

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世界大百科事典内のイノシトールの言及

【イノシット】より

…イノシトールinositolとも呼ぶ。1871年にJ.F.vonリービヒにより,酵母などの発育促進因子としてその存在が予想され,20世紀に入り,その実体がシクロヘキサンヘキサオールであることがわかった。…

※「イノシトール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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