日本音楽において,旋律の骨格に何らかの装飾を加えることをいうが,具体的には分野や場合によってさまざまな変化がある。また同類の概念にユリがあって両者の区別が必ずしも明確ではなく,さらに,イロ単独で用いるほかに多くの複合語をもつくるので,様相はきわめて複雑である。まず,能,狂言,それに浄瑠璃など,音楽的に節付けされた部分と,節付けされないコトバ(詞)の部分とを明瞭に使いわける分野では,フシ(節)とコトバとの中間的な,特有の抑揚をもった旋律様式をいう。謡においては,これとは別に節の装飾法としてのイロを考える立場があるが,このイロは,実際に謡うか謡わないかということが演者の選択にゆだねられるという点で,ユリと区別されるほか,ユリよりはるかに短いものである。声明(しようみよう)のイロは,謡などの場合と比較してユリとの区別がいっそうはっきりしないが,大ざっぱにいってユリほどには基本的なものではなく,かつ,もう少し動きの細かい装飾旋律ということができる。イロの語を含む複合語としては,イロマワシ,イロユリ,五ツイロ・三ツイロ,地色,色コトバなどがある。その大部分が声の旋律に対して用いられる中にあって,箏(そう)では,左手を用いるいくつかの技法に対し,オシイロ,ヒキイロ,ユリイロなどという立場がある。
執筆者:蒲生 郷昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…魚は跳ね回ったり,ぐるぐる回ったりし,水がすり鉢形に中くぼみになることもあるので,〈まきどろみ〉〈まきいお〉〈すりばちいお〉などともいわれる。海面の状態から魚群の往来,状態を推定することはよく行われ,ほかにも〈あわ〉(イワシなどの吹き出す泡が水面に浮かぶ),〈いろ〉(白み・黒み・赤みなど魚群の集まりぐあいで水色が変化する),〈ひき〉あるいは〈しき〉(夜間,海中のヤコウチュウなど発光生物の光る様子から海中での魚群の動きを推定する),〈わき〉(魚群が表層に密集して水面が盛り上がる),〈せり〉(イワシなどの群れによって海面がざわざわ泡立つ)など,いろいろの語が漁業者に伝承されている。【清水 誠】。…
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[装束の色]
能装束の色調は役柄によって区別される。とくに赤い色が特殊な色として尊重され,単に〈いろ〉といえば赤い色のことだけを意味する。女性役の装束について,〈いろ入り〉といえば赤系の色を使った装束のことで,《熊野(ゆや)》や《松風》のシテのような若く美しい女に用い,〈いろ無し〉といえば赤系の色を使わない装束のことで,《隅田川》《三井寺》のような中年の女に用いるのが普通のきまりになっている。…
…日本古典音楽の種目。竹本義太夫が創始した浄瑠璃の流派。人形芝居の音楽として17世紀後半に成立し,幕末期以後は文楽人形浄瑠璃の音楽として,ひろく親しまれてきた。また,素浄瑠璃として,音楽だけを演奏する場合もある。ふつう浄瑠璃を語る太夫1人,三味線1人で演奏するが,掛合といって大勢で演じたり,箏,胡弓,八雲琴や,ツレ弾きの三味線が加わる曲もある。
[歴史]
1684年(貞享1),竹本義太夫(筑後掾)が大坂道頓堀に竹本座を創設して,独立興行に踏み出したときにはじまる。…
…声にも楽器にも存在する。ただし,イロ,フリ,ツキなどの名で呼ばれる装飾技法などとの区別は,かならずしも明確ではない場合がある。しかし,ナビキとかギンなどというビブラートとは,はっきり違うといってよい。…
※「いろ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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