いろ(読み)イロ

デジタル大辞泉 「いろ」の意味・読み・例文・類語

いろ

[接頭]血族関係を表す名詞に付いて、母親を同じくする、または、母方の血のつながりがある、の意を表す。「いろせ」「いろと」「いろね」

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精選版 日本国語大辞典 「いろ」の意味・読み・例文・類語

いろ

  1. 〘 造語要素 〙 血族関係を表わす名詞の上に付いて、母親を同じくすること、母方の血のつながりがあることを表わす。同母の。のち、親愛の情を表わすのに用いられるようになった。「いろせ」「いろと」「いろも」「いろね」など。

いろの語誌

異腹の関係を表わす「まま」の対語で、「古事記」の用例をみる限り、同母の関係を表わすのに用いられているが、もとは「いりびこ」のイリ、「いらつめ」のイラとグループをなして近縁を表わしたものか。それを、中国の法制的な家族概念に翻訳語としてあてたと考えられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「いろ」の意味・わかりやすい解説

イロ(色) (いろ)

日本音楽において,旋律骨格に何らかの装飾を加えることをいうが,具体的には分野や場合によってさまざまな変化がある。また同類の概念にユリがあって両者の区別が必ずしも明確ではなく,さらに,イロ単独で用いるほかに多くの複合語をもつくるので,様相はきわめて複雑である。まず,能,狂言,それに浄瑠璃など,音楽的に節付けされた部分と,節付けされないコトバ(詞)の部分とを明瞭に使いわける分野では,フシ(節)とコトバとの中間的な,特有の抑揚をもった旋律様式をいう。謡においては,これとは別に節の装飾法としてのイロを考える立場があるが,このイロは,実際に謡うか謡わないかということが演者の選択にゆだねられるという点で,ユリと区別されるほか,ユリよりはるかに短いものである。声明(しようみよう)のイロは,謡などの場合と比較してユリとの区別がいっそうはっきりしないが,大ざっぱにいってユリほどには基本的なものではなく,かつ,もう少し動きの細かい装飾旋律ということができる。イロの語を含む複合語としては,イロマワシ,イロユリ,五ツイロ・三ツイロ,地色,色コトバなどがある。その大部分が声の旋律に対して用いられる中にあって,箏(そう)では,左手を用いるいくつかの技法に対し,オシイロ,ヒキイロ,ユリイロなどという立場がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「いろ」の意味・わかりやすい解説

イロ

日本音楽,演劇の用語。「色」の字をあてる。声楽の特定の音符またはある部分全体になんらかの装飾的技巧を加えること。種目によって相違があり,発声技巧である場合と,装飾的小旋律を伴う場合とがある。 (1) 声明 特定の音の引伸ばしに加えられる装飾的技巧で,旋律型としても扱われる。天台,新義真言,南山進流で若干異なる。 (2) 謡曲 (a) 「詞 (ことば) 」と「歌」との中間的な部分。ステともいう。 (b) 観世流ヨワ吟にある装飾的小旋律。譜では「イ」と示されるが,無視してうたわれることもある。 (3) 狂言 「詞」と「節 (ふし) 」との中間的な唱法。 (4) 幸若舞 詞から節にかかるときの短い句の部分。 (5) 義太夫節 「詞」を顕著な脚色を加えて発声したもので,「地」の同様なものは「地色」という。 (6) 一中節などの「色詞 (いろことば) 」は,一定の類型的旋律をもつ写実的な部分。 (7) 能装束用語としては,紅色を意味し,紅色以外の色があってもイロなしという。

イロ
Ilo

ペルー南部,モケグア県南西部の都市。アレキパの南約 150km,太平洋にのぞむ港湾都市で,アンデス山脈から流下するモケグア川の河口に位置する。同川沿岸の灌漑農業地帯に産するオリーブ,ブドウ,綿花などを積出すほか,隣接するタクナ県の大規模な銅鉱山の開発に伴って,その積出港として近年急速に発展,近くには銅精錬所も建設された。市内には魚粉,果実缶詰,オリーブ油などの工場がある。北東約 70kmの県都モケグアと鉄道,道路で結ばれるほか,東北東約 100kmにあるトケパラ銅鉱山地帯から鉄道が通じる。人口3万 4500 (1980推計) 。

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普及版 字通 「いろ」の読み・字形・画数・意味

】いろ

あし。

字通「」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内のいろの言及

【とろみ】より

…魚は跳ね回ったり,ぐるぐる回ったりし,水がすり鉢形に中くぼみになることもあるので,〈まきどろみ〉〈まきいお〉〈すりばちいお〉などともいわれる。海面の状態から魚群の往来,状態を推定することはよく行われ,ほかにも〈あわ〉(イワシなどの吹き出す泡が水面に浮かぶ),〈いろ〉(白み・黒み・赤みなど魚群の集まりぐあいで水色が変化する),〈ひき〉あるいは〈しき〉(夜間,海中のヤコウチュウなど発光生物の光る様子から海中での魚群の動きを推定する),〈わき〉(魚群が表層に密集して水面が盛り上がる),〈せり〉(イワシなどの群れによって海面がざわざわ泡立つ)など,いろいろの語が漁業者に伝承されている。【清水 誠】。…

【能装束】より


[装束の色]
 能装束の色調は役柄によって区別される。とくに赤い色が特殊な色として尊重され,単に〈いろ〉といえば赤い色のことだけを意味する。女性役の装束について,〈いろ入り〉といえば赤系の色を使った装束のことで,《熊野(ゆや)》や《松風》のシテのような若く美しい女に用い,〈いろ無し〉といえば赤系の色を使わない装束のことで,《隅田川》《三井寺》のような中年の女に用いるのが普通のきまりになっている。…

【義太夫節】より

…日本古典音楽の種目。竹本義太夫が創始した浄瑠璃の流派。人形芝居の音楽として17世紀後半に成立し,幕末期以後は文楽人形浄瑠璃の音楽として,ひろく親しまれてきた。また,素浄瑠璃として,音楽だけを演奏する場合もある。ふつう浄瑠璃を語る太夫1人,三味線1人で演奏するが,掛合といって大勢で演じたり,箏,胡弓,八雲琴や,ツレ弾きの三味線が加わる曲もある。
[歴史]
 1684年(貞享1),竹本義太夫(筑後掾)が大坂道頓堀に竹本座を創設して,独立興行に踏み出したときにはじまる。…

【ユリ】より

…声にも楽器にも存在する。ただし,イロ,フリ,ツキなどの名で呼ばれる装飾技法などとの区別は,かならずしも明確ではない場合がある。しかし,ナビキとかギンなどというビブラートとは,はっきり違うといってよい。…

※「いろ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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