本来は下部構造,下部組織の意味であるが,今日最も多く使用されるのは経済の下部構造の意味である。経済には,それ自体では直接的には生産的ではないが,財・サービスの生産に間接的に貢献する資本が存在する。その典型は,道路,水路,港湾,空港等の交通・通信施設,動力・エネルギー関係施設,上下水道・灌漑・排水施設であり,これらは固有の(狭義の)インフラストラクチャーを構成する。これに,学校,博物館等の教育・文化施設,保健・医療・福祉等の施設,国土保全・都市計画関係等の諸施設を加えて,それなしでは生産活動や国民生活が成り立たなくなるような,一般的な経済活動の基礎条件を構成する資本施設が広義のインフラストラクチャーである。これは〈社会資本〉あるいは〈社会的間接資本〉とよばれるものにほかならず,その効果が間接的であるために,市場機構を通じては十分な供給が必ずしも保証されない,という特性をもっており,なんらかの形で政府が責任をもってその充足を図らなければならない。なおマルクス主義の〈土台=下部構造〉の英語訳としても使われる。
→社会資本
執筆者:山田 浩之
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…したがって,そこに政府ないし政府関係機関が介在してくるのが一般的である。交通サービスの供給には,(1)鉄道線路,道路,空港,港湾等の通路,ターミナル,(2)鉄道車両,自動車,航空機,船舶等の交通用具,(3)交通用具を稼働させるための動力,(4)運行管理が必要とされ,そのすべてが整えられなければならないが,交通投資といった場合には,多くの資本を要する通路,ターミナルの基礎施設(インフラストラクチャー)がその対象となる。線路を自ら建設する鉄道の場合を除いては,インフラストラクチャーへの投資主体と利用主体とは異るのが普通である。…
※「インフラストラクチャー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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